要件を言おうか

カネとかジンセイとかいろいろ

【2022年11月】今月読んだ8冊

11月の読書は小説少なめで投資関連の本が多い。

目次

 

1. カラスの親指

 


悲しい過去を持つタケとちょっと抜けてる相棒のテツ。
2人は詐欺師である。2人はちんけな詐欺で食いつないでその日暮らしをしていたが、ひょんなことから彼らの下にまひろとその姉のやひろ、やひろの彼氏である貫太郎が転がり込んでくる。
全くの他人である5人の奇妙な共同生活が始まる中、じわりと恐怖の手が忍び寄る。
それは、タケ、そしてやひろとまひろの過去に関係しているものだった。
忌まわしい過去を精算をするべく5人が大掛かりなペテンを仕掛けるという、クライムサスペンス作品。

本作は映画化もされており、筆者は元々映画から観ていたのでタケの顔は阿部寛で再生されていた。

 

 

そんな余談はともかく、抜群に面白かった。

身寄りもなく孤独に生きていた5人が身を寄せ合って生きていく、そして目の前の困難には皆で協力して立ち向かう。人間の優しさを感じるハートフル作品であった。

 

2. カエルの小指

 


カラスの親指から十数年経ったあとのお話。
タケは詐欺から足を洗い実演販売という真っ当な職業に就いていた。
やひろは貫太郎と結婚し小学6年生になる子供がいて、至って普通の家庭を築いており、まひろはスリから足を洗い真っ当に仕事をして生活している。

真人間に更生したタケの下にやってきたのがキョウという中学生。
キョウはタケに言う。「責任を取ってもらおうと思いまして」と。
そしてタケはキョウを救うために再び大掛かりなペテンを仕掛けることを画策する。
人生の理不尽さ、そしてタケの無償の優しさが感じられる傑作である。

 

3.4. 最も賢い億万長者上下巻

 


シモンズは金融市場をハックした最初の世代かもしれない。
1970年代、当時のヘッジファンドたちはカンとセンス、そして独自の驚異的な読みで市場動向を分析し金を儲けた。
彼らヘッジファンドが市場で収益を得るためには、経済や金融の知識に通じているのはもちろんのこと、投資家としての経験値が求められたわけだ。

そんな時代、シモンズは大学教授の立場を捨てマネメトリクスという運用会社を立ち上げる。
シモンズは、自身の数学的知識を活かし、金融市場を統計的に分析し、従来のヘッジファンドとは違った観点から収益機会を模索する。
当時、このような考えで市場に向き合う人はほぼいなかった。

シモンズが目指したのは、人間が投資判断をするのではなく、コンピューターが自動で投資判断をし、勝手に金を稼いでくれるマシーンを作り上げることだ。
その目論見は成功し、シモンズのファンドは32年間で平均66.1%の収益率を誇る驚異のファンドになった。

この本の一番の学びは、「51%以上勝てるポイントに金を賭け続ければ兆万兆者になれる」という点である。
シモンズは効率的市場仮説に真っ向から異を唱え、数学的アプローチで市場の歪み(51%以上勝てるポイント)を見つけ出し、個人資産を2兆円まで増やした。

本書の学びを筆者の投資活動にも活かしたいものである。

 

5. 「入門」外国為替のしくみ

 


1から為替の勉強をしたかったので購入。
特にオプション取引について理解を深めておきたかったので本書はいい勉強になった。

 

6. なぜ倒産 令和・粉飾編

 


筆者が大好きな「なぜ倒産」シリーズ。
成功談より愚かな失敗事例の方が120倍役に立つのである。

今回は粉飾編なので、「粉飾決算をした企業の倒産」をメインに据え、「会社成長期の倒産」、「会社停滞期の倒産」、「突然の倒産」というグループ分けをして様々な倒産事例を紹介している。

特に、「会社成長期の倒産」はかなり含蓄に富んでいる。
成長しているはずなのになぜ倒産してしまうのか。そこには成功しているからこその過信があったのだ。
例えば1966年創業洋菓子メーカーの「シベール」。

シベールは、贈答菓子「ラスク」の先駆者であり、ラスクという強力なヒット商品を武器に2005年にジャスダック上場まで果たす。
上場して資金が集まると、シベールは自社のブランド価値向上のため、巨額の資金を投じて本社敷地内に「シベールアリーナ&ライブラリー」という文化施設を作る。アリーナは500人収容で、ライブラリーには3万冊の蔵書がある。
この施設は大して金を生まないが、自社の世界観を通信販売の顧客に伝えることが主目的なのだという。

しかし思ったより通信販売の売上は伸びず、2008年8月期には通信販売の売上は23億円あったが、11年8月期には13億円まで落ち込む。

そして、先駆者はいつだって後発者に狙われる運命にある。
ラスクが金の生る木だと気づいた後発者たちが市場に参入し、たちまちシベールは先駆者としての優位性を失う。
そこからシベールは巻き返しを図ることができず、2019年に民事再生法の適用を申請するに至った。
先駆者としての過信を後発者に付け込まれのだ。

日本マクドナルド創業者の藤田田は、「ビジネスは戦争である」と言ったがまさにその通りである。
少しでも隙を見せればたちまち敵にやられてしまうのだ。

シベールの失敗は以下の3つになる。

1. ブランディングのため巨額の資金を投じて文化施設を作った
2. ラスク以外のキラーコンテンツを生み出せなかった
3. 後発者に勝つことができなかった


勝負の世界において過信は禁物なのである。
本書はそんな世知辛い人生訓を学べる良書。

 

7.8. ???

 

最後の2冊はタイトルがあまりにもバカっぽいのと、筆者が次何をやろうとしているのかバレてしまうので伏せます。
近いうちブログ書くので許してください涙

 

おわりに

 

12月のどこかで「今年読んだ本でおすすめの本」的なエントリ書きたいところである。
ではでは。

【2022年10月】今月読んだ7冊

行政書士の勉強を本格的に始めて毎日法律の条文に触れるようになると、その難解さから反動でめちゃくちゃ小説読みたくなる。
というわけで今月読んだ本の紹介。

目次

 

1. スクープの犬

 

スクープの犬

スクープの犬

Amazon


ある5件の児童殺害事件。
どの事件もすぐに犯人は捕まり事件は解決を見るわけだが、この5件には奇妙な共通点があった。
週刊文倫のベテラン記者「戌井」と、新米記者の「イルカ」はその共通点に気が付き、事件の真相に迫っていく。

ミステリーとお仕事小説が好きな筆者にしてみれば、謎あり、新米記者の涙ぐましい奮闘あり、の話は大好物なので順当に楽しめた。

 

2. 合理的にあり得ない

 


弁護士資格を剥奪された上水流涼子は頭脳明晰な助手「貴山」と共に探偵事務所を運営することになる。
もっとも、探偵事務所とは名ばかりでその実態はトラブル解決屋。
依頼者から持ち込まれた厄介ごとを、涼子の法知識と経験そして貴山の頭脳で華麗に解決していく。

もうね、設定から最高。
毎話まるでマジックショーを見てるかのように華麗に難問を解決していく2人の活躍は、実に愉快爽快。
こんな探偵事務所が本当にあったらどれだけ面白いことか。

そして、なんと言ってもキャラが立っている。
涼子は美人で知的で度胸もある元弁護士で、その快活な言動は見ていて気持ちがいい。
どことなくそのキャラクターは「元彼の遺言状」の剣持麗子に似ているかも。
一方貴山は口数こそ少ないものの、勝負所では決して負けない勝負強さと、必ず勝利に導く高い知能には感服するしかない。

設定、ストーリー展開、読みやすさ、キャラクター性、どれを取っても素晴らしく、続編の執筆を大いに期待したいところである。

 

3. レベルロボチカ

 


2050年。世界は物理現実から超越現実メタ・リアリティ、通称「MR」社会に突入していた。
これは、リアルとバーチャルの世界を融合する技術であり、これにより人類は様々な恩恵を受ける。
人は脳内に埋め込まれた「MRチップ」により、特別な端末機器を使わなくても仮想空間にアクセスできるようになった。

しかし、そのMR社会から取りこぼされたのが本作の主人公「タイキ」である。
タイキのMRチップはバグを抱えているため、彼は仮装空間にうまくアクセスできず、仮装と現実の世界を往来する奇妙な人種となる。(タイキ以外の人はほぼ仮想空間のみで生きている)

如何にもSFチックな設定でありこの時点で面白そうだと思ったのだが、実際のストーリーはやや有りがちで、ラノベっぽい感じなのにキャラはあまり立ってなく、筆者的には消化不良感が否めない読後感だった。

 

4. ピザ宅配探偵の事件簿

 


ピザ宅配人である橋口は、なぜかよく事件に巻き込まれる金田一少年体質。
橋口はただのピザ宅配人のくせに推理力が異常に高く、毎度真相にたどり着き事件を解決していく。

読んでいてなんでただのピザ宅配人がこんな推理力を持っているんだ?と謎だったが、その疑問は最終話で解き明かされる。
このミス大賞なだけあって安定に面白い。

 

5. 運動脳

 


スマホ脳で一躍有名となったアンデシュ・ハンセンの本。
内容を要約すると、「運動はいいぞ!」ということをひたすら語った本である。
知的好奇心がくすぐられるし実益もあるのでこりゃ売れるわと思った。
というわけでこの本で一本記事書いた。

 

 

6. 生きる 一歩一歩前へ

 


青春全てを卓球に懸けていた17歳の少女が交通事故に遭い、頸髄を損傷。一生車椅子生活を余儀なくされる。
四肢の障害だけではなく排泄障害も抱えることとなり、1人ではほぼ何もできない状態に陥り、少女は絶望のどん底に突き落とされる。
彼女は歩けないことよりも、卓球ができないことの方が何より辛かったと語っている。

そんな彼女がどうやって立ち直り前向きに生きられるようになったか。それは、残酷な現実を全て受け入れることだった。
歩けない自分、排泄障害がある自分、卓球ができない自分、1人では何もできない自分、それらを全て受け入れる。
「受け入れるということは、諦めることではなくて、自分を理解してあげることかもしれない」という彼女の言葉は重く深い。

本書は、圧倒的なる絶望に立ち向かう勇気をくれるハートフルな内容となっているので、今困難に直面している人はぜひ読んでほしい。

 

7. バカと無知 人間、この不都合な生き物

 


橘玲の新作。
バカは自分がバカであることを自覚できないとか、下方比較は報酬だの(自分より劣ってる人を見ると脳は喜ぶ)、人がどこまで残虐になれるかなど、知りたくもない不愉快な事実を次々と突きつけられる。

本書を読むとSNSでの人の行動原理がよくわかるようになるので、SNSにどっぷり浸かってるデジタル世代は本書をきっかけに世界の見え方が変わるかもしれない。

 

おわりに

 

最悪なことにFP2級の学科に落ちた。



これにより、行政書士の勉強に加え再びFPの勉強もしなければならず、ますます読書の時間が削られることになりそうである。
おーまいが

【2022年9月】今月読んだ3冊

レンスペ関連の仕事そしてFP試験に向けた勉強などもあり、何も予定がない日が2日しかなかった、という言い訳じみた諸問題を鑑みても3冊しか読んでないのは、我ながら少ないっすね。

というわけで今月も読んだ本の感想。
例の如く、今月と銘打ってるけど先月のやつです。

目次

 

1. 怪盗フラヌールの巡回

 


父は偉大なる怪盗フラヌールだった。彼には盗めないものなどない。が、当の息子「あるき野 道足(みちたり)」はそんな父をとことん軽蔑しており、道足がフラヌール二代目を襲名すると、あろうことか父が盗んできたモノを返却するという「返却怪盗」としての活動を始める。
そんな道足が、海の中にある怪しげな研究所に父が盗んだ玉手箱を返しにいくところから連続殺人事件が起こる、そんなお話。

もうね、最高。
西尾維新の作品は物語シリーズと掟上今日子の備忘録くらいしか読んだことなく、最近は滅法ご無沙汰だったので、さてどんな感じなのかなと思って本作を手に取ってみたが、やはり西尾維新作品はキャラがいい。
どのキャラもインパクトがあり、そして皆それぞれ持ち場がある。
「トリッキーなキャラを作るのはそう難しくないけど、ではそのトリッキーなキャラをどう運用してどうエンディングまで持っていくかを考えると、それができてない人多いですよ」、的なことを暗殺教室の作者松井先生がおっしゃっていたが、西尾維新はトリッキーなキャラもしっかりと運用できている。
やっぱすごいっすこの先生は。

 

2. 弁理士・大鳳未来 ストロベリー戦争

 


このミス大賞「弁理士・大鳳未来」シリーズの新作。
久郷いちご園のいちご「絆姫」が、田中山物産株式会社という日本最大手の総合結社に、「それ商標権侵害だから」といちゃもんをつけられるところから物語は始まる。

調べると確かに田中山物産は数年前に「絆姫」の商標を取得している。
商標登録は早い者勝ちなので、先に登録した方が権利を持つ。
となると、久郷いちご園にはほぼ勝ち目がない。
そんな無理ゲーな依頼をもらった未来は、さてどうやって絆姫の名前を守るのか、というお話。

相変わらず強気な未来と男みたいな喋り方をする姚のコンビは見ていて痛快ではあるが、それ以外のキャラがモブらしさ全開でやや物足りなさはあったものの、商標権という摩訶不思議な世界の一端を覗けただけでなく、突きつけられた難問をとんでもないウルトラCで突破しようとする未来の実務力の高さ、そして問題解決能力の秀逸さは学ぶものがある。
総じて面白かった。

 

3. オカルト・クロニクル 増補新装版

 


新装版なので基本的に前作とほぼ内容は一緒ではあるが、

・もう1人のサジェ
・数奇なる運命に翻弄された一家
・山荘の怪事件
・君と僕と呪われた脳
・数字で学日本の異世界

の5作品追加されているので、旧版を持っている方も楽しめる内容となっている。
相変わらずの博識ぶり、膨大なる資料の読み込み、ありとあらゆる可能性を考慮して論理的な推論を展開する考察力、そして知性と底意地の悪さが溢れるユーモア。内容の面白さはもちろんのこと物書きとしての才能と熱量が凄すぎる。

自分の主観だけで書くライター、いかがでしたかでシメるへっぽこブロガー、散々人様を批判するくせに記者名の記入がない大手メディア、文責をまるで背負おうとしない書き手がごまんと溢れている昨今だからこそ、松閣オルタ氏のひたむきな姿勢は光る。

 

おわりに

 

来年度の行政書士試験に向けて現在「民法」を習学中だが、法律独特の難しい言い回しに四苦八苦している筆者である。
テキストを読みながら何度、「頼むからもうちょっと平たく書いてくれ・・・」と嘆いたことか。
筆者のアホさを舐めるなよと。
かような難解な文章の解読に苦戦していると無性に小説が恋しくなるので、勉強の合間を縫って今後もいろんな本を読んでいきたいところである。

【2022年8月】今月読んだ5冊

今月と書いてるけど先月(8月)の読んだ本の紹介です。
FPの勉強に本腰入れていたのでガクッと冊数は減っている模様。

目次

 

1. 社会保険労務士になるには

 


例の如く図書にあったので読んでみた。
行政書士より稼げそうだけど、資格取るには学歴要件が求められる時点で筆者には縁がなかった。
と諦めていたら行政書士の資格持っていれば受験資格を得られるらしい。
その事実を知っただけでも読んだ甲斐があった。

 

2. 田中角栄 頂点をきわめた男の物語

 


田中角栄という稀代の天才を影から支えた田中角栄の秘書「早坂茂三」の著作。
コンピューター付きブルドーザーと称された角栄の秘密が秘書の視点から語られる。

筆者が特に注目したのは、角栄は圧倒的な努力家である点だ。
例えば角栄はインタビューを受ける時は完璧に事前準備をしてから臨んだ。
まず相手に、「質問項目を出してください」といい、質問内容を把握すると今度は部下にその質問に関連する資料の用意を命ずる。
秘書が用意した膨大な資料を手元に置き、1時間、2時間と真剣に読み込み勉強をする。そうしてから初めてインタビューに臨むのだ。
角栄が努力家だったエピソードは枚挙にいとまがないが、単なるインタビューですらこの調子なのだから、常在戦場という心持ちで人生を生きてたのかもしれない。

 

3. 婚活戦略 商品化する男女と市場の力学

 

婚活戦略

婚活戦略

Amazon


44歳経営学者が真面目に真剣に婚活に挑戦するも、「婚活市場において私は価値のない商品でしかなかった」という哀愁溢れる結論を残し散っていった悪戦苦闘記録。
経営学者よろしくクソ真面目に婚活市場を分析するその姿勢は評価できる一方、「いやさ、もうちょい婚活での失敗談や面白いエピソードくれよ」と物足りなさを感じたのが正直なところである。

 

4. お迎えに上がりました6

 


2年越しの新作。
今作も最高だった。
日本が貧しかった頃、「口減らし」のために捨てられた小さな子供の地縛霊。
この地縛霊を成仏させる方法は「ご飯を食べさせること」と火車が説明するが、夕霞は「この子の親を探して親に会わせてあげたい!」と意見をぶつける。
ご飯を食べさせてさよならバイバイなんてかわいそすぎる。せめて親に会わせてあげたい。じゃなきゃこの子があまりにも無念だ。これが夕霞の主張であり強い思いだ。
しかし、現実問題その子の親がどこに住んでるかもわからず、なおかつ名前すらも不明な状況において、親を探すのはほぼ不可能だ。
そんな夕霞に火車は社会人の先輩よろしく、現実的な仕事の進め方を指導する描写は実に名シーンだった。
理想を掲げる夕霞、現実を見る火車。この対比が実にいい。
本気で仕事をしている人に刺さる作品だと思う。

 

5. ネメシスI

 


とある零細探偵事務所が繰り広げるミステリエンタメ小説。
キャラ、ストーリー、ミステリー要素、文章、全てにおいて星1つを付けざるを得ないくらい筆者にはとことん合わなかった。
ところが、Amazonレビューは普通に高評価なのでただ単に筆者のセンスがズレてるだけなのかも。悲しい。

 

おわりに

 

無事FPの試験は終わったが、その次に待ち構えているのは行政書士の勉強なので、結局今月以降も読書は進まなさそう。

【2022年7月】今月読んだ7冊

7月は行政書士を目指すことを高らかに宣言した月なので、行政書士関連の本が多い模様。

というわけで今月も読んだ本の感想をつらつらと。

目次

 

1. フリーター、行政書士になる!

 

 

内容は全くの知識0から行政書士試験に合格したノウハウを伝授するもの。
この本を読むとどのように勉強すればいいか、ある程度の方向性が見えてくる。

著者は大の猫好きで、行政書士としても猫に関係する「ペット信託」の仕事をしているのが、良いストーリーだと思ったし、行政書士の仕事の幅広さを思い知らされる。

 

2. 行政書士になるには

 


図書にあったので読んでみた。
現役で活躍している行政書士へのインタビューがかなり参考になった。
個人的には風俗関係の業務を専門にしている方が興味深かった。

 

3. 司法書士になるには

 

 

司法書士は最高難易度の資格なので目指そうとは思わないが、図書にあったのでなんとなく読んでみた。
20年前の本なので情報はやや古いが、司法書士の世界を何も知らなかった筆者にしてみれば存分に知的好奇心をくすぐられた。

面白いと思ったのが、司法書士は一定の条件を基に簡易裁判の代理業務をできること。
まさに街の法律家と呼ばれるにふさわしい職域の広さ。

 

4. 57歳で婚活したらすごかった

 


全く婚活する予定はないが、その魔の世界の魅力に取り憑かれ手に取ってみた。
著者はフリーの記者で年収も高い。が、57歳という年齢がネックとなり婚活に苦戦する。
ただ、著者は結婚までは至らないとしても何人もの女性と一夜を共にしているので、結構モテているじゃねーかという感想。

 

5. 俺ではない炎上

 


浅倉先生の新作。
もちろん前作の「6人の嘘つきな大学生」は既読済み。

ある日突然、SNSに女子大生を殺害したことをほのめかすアカウントが登場した。
そのアカウントの主が会社員の「山縣泰介」であることがネット民によって特定される。
こうして炎上が始まるわけだが、しかし当の泰介は困惑する。なぜなら彼は全く身に覚えがないのだから。なんたって自分はSNSの使い方すら知らない。
そんな泰介の困惑はよそに、世間は「山縣泰介は殺人犯」と決めつけ炎上は加速する。

泰介は考える。一体自分を嵌めたのは誰なのか・・・と?

読んだ感想としては、「まんまと作者に嵌められた!」である。
これ以上言うとネタバレになるのでぜひ読んでみてその真相をご自身で確かめてほしい。

 

6. 虚構推理 逆襲と敗北の日

 


キリンの話。
本作最大のポイントは、琴子と敵対している六花がキリンに立ち向かうためにお互い手を組むところにある。
しかし、この2人が交わってハッピーエンドになるわけがない。
ラストでは、シリーズで初めて琴子の抱える苦悩が浮き彫りとなる。
次作が待ち遠しい。

 

7. 流星の絆

 


言わずと知れた東野圭吾の名作を今更ながら読破。

当たり前に面白かった。今年読んだ小説の中ではぶっちぎりの1位。
ストーリー展開の巧みさもさることながら人物描写がうまい。
読みながら登場人物たちの息遣いや表情が明確にイメージできる。

何度も読み返したところは、静奈が行成の経営している洋食屋に行き、静奈の心境に変化が生じるシーンだ。(文庫判160p)

静奈にとって行成は金持ちのボンボンであり、詐欺のターゲットでしかない。
だが、行成の実直で仕事熱心な姿勢に静奈は徐々に心惹かれていく。
しかも、行成の店は洋食屋だ。洋食屋で生まれ育った静奈にとってこのロケーションは、子供の頃の記憶を呼び覚ますには十分すぎるものだった。
やや長いがそのシーンの一節を引用する。


店に入った瞬間から、妙に落ち着かないのだ。自分の心の片隅にある古いドアがノックされているような気分だった。
だが決して悪い気分ではない。むしろ、つい無防備になってしまいそうだった。そのことが彼女を戸惑わせている。
たぶんここが洋食屋だからだろう、と静奈は思った。
昔、両親が経営していた『アリアケ』という店とは、広さも高級感もまるで違う。
だが漂っている空気には、明らかに共通したものがあった。
その空気が、彼女の意識を、幼い日々に連れ戻そうとする。人を騙すことなど、考えもしなかった無邪気な日々にだ。

 

おわりに

 

FP2級の試験が9月にある上に、行政書士の勉強もしなければいけないので、8月はほぼ本を読めないかも。。。

【2022年6月】今月読んだ7冊

今月も今月とて読んだ本の感想を書いていく。
なお、虚構推理にどハマりしたので今月読んだ小説はほとんど虚構推理の模様。

目次

 

1. 闇の脳科学

 


今年読んだノンフィクションの中でダントツに一番面白かった。
不穏なタイトルはイカれたマッドサイエンティストの登場を予感させるが、本書の内容はロバートヒースという精神科医の功績を再検証したものだ。

今の医学会でヒースの名を知るものはほとんどいないが、彼が医学会に残した功績は凄まじい。
DBS(脳深部刺激療法)は、脳に電極を差し込み、継続的に刺激を与えることで病状の改善を図るという治療法で、主にパーキンソン病の治療に用いられている。そして、この治療法を開発した人こそがヒースである。

だが、当時の医学会はこの治療法をロボトミーの再来だといい、非人道的な治療という評価をくだした。その結果ヒースの功績は認められず、今現在ではDBSを開発したのはヒースではなく別の人間ということになっている。

時代の先を行き過ぎて理解されなかった天才ロバートヒース。
そんな時代に埋もれたヒースの功績を、確かな医療の知識と、丹念な取材で再検証する著者ローン・フランクのジャーナリズム魂は鬼気迫るものがある。

本当はこの本の感想だけで一本記事を書きたかったが、中々綺麗にまとめられず断念した。

 

2. 非会社員の知られざる稼ぎ方

 


東洋経済オンラインの名物連載。元々連載を読んでいたので書店で書籍を見つけて即購入。

タイトル通り非会社員を取材し、彼らがなぜ今の仕事をしているのか、どのようにして稼いでいるのか、などを掘り下げていく内容となっている。

稼ぎ方の部分はあまり参考にならないが、一風変わった人生を送っている方々が登場するので普通に読み物として面白い。

 

3. Amazonの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した 最低賃金労働の現場

 


著者のジェームズ・ブラッドワースがアマゾン、ウーバー、訪問介護、コールセンターに潜入し、その実態を暴き出す痛快な潜入ジャーナリズム本。

よく筆者の家のポストにアマゾンバイト募集のチラシが投函されているが、この本を読んだら絶対に働きたくなくなる。
読んでる限り、アマゾンは労働者たちを囚人だと勘違いしている節があり、労働者の人権はほぼ無視され馬車馬の如く酷使される。

ウーバーの項のメイントピックは、ウーバーがドライバーを労働者ではなく自営業者として扱ってることに対する問題提起だった。
ここに関してはわりと有名な話だし、特に新たな学びは得られなかった。

 

4. 競争の番人

 


新川先生の新作なのでノールックで購入。
公正取引委員会という地味なお役所が主題の小説。

体育会系女子の公取委「白熊楓」と、天才だが人間性にやや難ありの公取委「小勝負勉」がタッグを組み、ウェディング業界に蔓延る巨悪に立ち向かっていく王道職業モノエンタメ小説。

職業モノエンタメは好きだし、公取委というマニアックな世界の一端を覗けたのは楽しくもあったが、小勝負のキャラがあまり好きにはなれず、さらには本作の悪役の理念の掘り下げが甘く、今一つ納得感にかける読後感ではあった。
とはいえ、次回作が出たら買うとは思う。

 

5. 虚構推理短編集 岩永琴子の出現

 


虚構推理第2弾、今回は短編集。
以下の全5話が収録されている。

1話 ヌシの大蛇は聞いていた
2話 うなぎ屋の幸運日
3話 電撃のピノッキオ、あるいは星に願いを
4話 ギロチン三四郎
5話 幻の自販機


短編集なので気軽にサクッと読める。
個人的には電撃のピノッキオ回が面白かった。

 

6. 虚構推理 スリーピングマーダー

 

虚構推理第三弾。

琴子は九郎一筋であり、彼氏の前では変態的、いや、可愛らしい女の子だというのに、高校生の頃の琴子は、誰ともつるまず冷淡でその考えが読めず、一言でいえば近寄りがたい雰囲気を醸し出していたことが本作の高校生編で明かされる。

片目片足を失い化物たちの知恵の神となった琴子、きっと本人にしかわからない苦悩があるのだろうが、全作を通してそこらへんの苦悩は一切語られない。
というか、むしろ神になれたことを喜んでいる節もありその真意は図りかねる。

そんなよもやま話もありつつ、本作のメインテーマは「スリーピングマーダー編」。
資産家のじっちゃまが、妖狐と取引して妻を殺してもらったことを、合理的な虚構を作り上げて、じっちゃま本人が殺ろしたことにするという、やや込み入ったストーリー。

じっちゃまは自分が殺人犯であることを、孫たちに認めさせようとするが、如何せんあやかしの力を借りて行なった殺人ゆえ、あやかしの存在を伏せて殺人を立証するのはそう簡単ではない。

そして物語は誰も想像していなかった意外な結末が待ち受けている。

はい、読みごたえたっぷりでございました。

 

7. 虚構推理短編集 岩永琴子の純真

 


虚構推理の漫画版でわりと話題になっている雪女編が収録されている短編集。
結論からいえばこの雪女編めちゃくちゃよかった。

友に裏切られ、会社の仲間にも裏切られ、あげく妻に殺されかけるという散々な目にあった室井昌幸はすっかり人間不信に陥った。
そんな彼の前に現れたのが雪女だった。

昌幸は雪女に魅せられていき逢瀬を重ねる。だが、その2人の仲をある一つの殺人事件が引き裂く。
ロマンとミステリーが入り混じるこのエピソードは、何度も読み返したくなる傑作であった。

 

おわりに

 

7月は本腰を入れてFP2級の勉強をしなければいけないのであまり本を読めないかも。
あと、シンプルに7月は忙しい。。。

【2022年5月】今月読んだ5冊

5月はとにかく忙しかった。
仕事、遊び、旅行、で予定が埋め尽くされ、「何も予定がない日」が皆無だった。
2月なんて、月の半分以上何もやることがなかったのに。

そんなわけで今月読んだ本は5冊だけ。

目次

 

1. マネーロンダリング

 


橘玲氏のデビュー作。
タイトル通りマネーロンダリングが主題の小説で、橘玲の金融と税法の知識が遺憾なく発揮されている傑作。
香港描写がやけに生々しくて、活字だけでも香港の情景が鮮明にイメージできる。
悪者たちの金をめぐる攻防戦は緊迫感があり、読者を飽きさせない。

できるだけ税を取りたい国家と、できるだけ税を払いたくない悪者たちの熾烈なイタチゴッコは色々考えさせられるものがある。

 

2. お迎えに上がりました。国土交通省国土政策局幽冥推進課5

 


夕霞里帰りのエピソード。
夕霞のおばあちゃん、母親、そして妹が登場する。

家族愛的な話というよりは、やはり今回も失わゆく文化にどう向き合うかがテーマだった。

本作以降、次巻が出されてないがこれでラストなの?

 

3. 二重らせんのスイッチ

 

 

どこにでもいる会社員だった桐谷雅樹は、いつも通り会社に出勤すると他の社員から奇異な目を向けられる。
すると、突然警察が会社に押しかけてくる。「桐谷雅樹。殺人の容疑で逮捕する」。
容疑を否認する雅樹に対して、警察はある防犯カメラの映像を見せつけてくる。
映像には、犯行に使った包丁を購入する姿と、被害者宅に押し入る雅樹の姿が映し出されていた。
しかも、殺害現場から雅樹本人のDNAが検出される。
これは完全なる黒だ。
しかし、当の雅樹は困惑する。なぜなら、雅樹はそんな殺人などした覚えは全くないのだから。
一体この映像の男は誰だ?本当に自分なのか?なぜ自分のDNAが犯行現場から検出された?

謎が謎を呼ぶ圧倒的なクライムサスペンス。最後までハラハラドキドキが止まらない傑作。
マジで面白かった。

 

4. 本当の自由を手に入れるお金の大学

 


今日本で一番売れているお金の本。
書店に行けば大抵目立つところに面陳されている。
読者想定が明らかに自分ではないので、買おうとは思わなかったが、図書にあったので読んでみた。

読んでみたら売れてる理由がわかった。
フルカラー、イラスト多め、文字でかめ、会話形式、希望が持てる内容、そりゃ売れるわ。本の内容より、マーケティング手法的な部分が勉強になる。

お金の知識を身につけたいならFPを勉強すればいいと思うかもだが、FPはお金を稼ぐ方法を決して教えてくれない。
そういう意味では、本書はお金の稼ぎ方も教えてくれるので、お金の知識を身につけたいと考える人が、最初に手に取る一冊としてはおすすめかも。

 

5. モテるために必要なことはダーウィンが教えてくれた

 


橘玲が監訳者を務めた、進化論をベースにしたモテ本。
この手の本は大抵ゴミだが、「裏道を行け」で橘玲が推していたので購入不可避だった。

天性のモテ男タッカーマックスと、進化心理学者のジェフリーミラーが共著となっている本で、テーマは倫理的なモテ戦略だ。
これは、PUA(ナンパ師)であるミステリーの「口説きの教典」の教えと真っ向から反する戦略である。

ミステリーメソッドは、女の気持ちなどガン無視し、如何に良い女とたくさんセックスするかに重点を置いてる。
一方、本作はそのような非倫理的なメソッドを否定し、徹底的に女に寄り添った倫理的な恋愛戦略を提唱している。

筆者は以下の記事でPUAの戦略をボロカスに否定した。


PUAの戦略は短期的な恋愛には効くが、長期的な恋愛にはほぼ活かせない。

本当に幸せを掴み取りたいなら、ジェフリーミラーとタッカーマックスの倫理的なモテ戦略に舵を切らなければいけないのだろうと、本書を読んで思った。

 

おわりに

 

今現在積み本になっているのが、リチャードドーキンスの「利己的な遺伝子」。
550ページもある上に、他の本で大体主張は知っているので、あまり読む手が進まない。
でも、進化論を語る上では外せない一冊でもあるので、頑張って読みます。
ではでは。

【2022年4月】今月読んだ11冊

4月は職場が2つになり、業務委託で新しい仕事を始めたり、100億年ぶりにWordPressでブログを立ち上げたりしていたくせに、なんだかんだ暇で本ばかり読んでいた。というか、本しか読んでなかった。(読書以外の記憶がほぼない)

そんなわけで、今月の冊数が10冊超えたわけである。

目次

 

1. スモールビジネスの教科書

 


タイトル通りの本である。
教科書と銘打ってるだけあって、綺麗な章立て、無理のない論理展開、本質を突いたノウハウ、とハイクオリティで仕上がっている。

個人的に面白いと思ったのが、ビジネスの敵とされる「属人性」をあえて活かせという話と、称賛されないビジネスをやれという話だ。

属人性が嫌われるのは、属人性があると再現性に欠けてしまいスケールできないからだ。だから多くの企業は属人性を排し、再現性を高め、スケールさせようとする。

しかし、逆に考れば、スモールビジネスで当てようとする個人は、はなから大きくスケールさせる気がないし、余計なライバルの参入も防ぐことができる点を考慮すれば、属人性があるビジネスをやるのは選択肢としてアリなのだ。

「称賛されないビジネス」をやれという話は、筆者が常日頃から思っていたことなのでめちゃくちゃ共感した。
本書では、人から称賛されるような良いビジネスは、市場機会に対し過剰な参入を招くので、血みどろのレッドオーシャンになると指摘している。

将来、「情熱大陸」にでも出たいなら話は別だが、儲けることが最大の目的なら、「誰かに褒められたい」という感情は捨て、経済合理的な事業選びをするべきだろう。

 

2. お金持ちになれる黄金の羽の拾い方2015 知的人生設計のすすめ

 


橘玲氏の作品の中でもとびきり有名なやつ。

読みたくて読んだというよりは、以下の記事を執筆するために資料用として目を通した感じ。

 


普段から橘氏の本を読んでる人からすれば、主張が重なってるポイントが多いので読む必要はないかも。

内容としては、資産形成=(収入-支出)+(資産×運用利回り)という金持ちの方程式を紹介し、制度の歪みを徹底的に利用し、支出を減らす方法と運用利回りを高める方法を解説している。


ゲームに勝つにはゲームのルールを知ることが先決だが、本書は資本主義社会のルールを表から裏側まで余すことなく解説しているので、凄まじき良書だと思う。

 

3. ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金率

 

 

タイトルだけみるとよくある自己系活本にみえるが、著者の名前に注目すると、この本の正体がつかめてくる。

そう、この本の著者は人の悪口を書いて生計を立てているあの堀元氏だ。
前作が「教養(インテリ)悪口本」なのに、今作で他者を啓発するような本を書くわけがない。

中身は、100冊のビジネス本を読んで、各本に書かれている矛盾点をあげつらい、徹底的にバカにするという、訴訟リスク山盛りの内容となっている。

ビジネス書はやたらAIに仕事奪われる話出てきがち、というくだりは腹抱えるほど笑った。
性格がひん曲がってる人におすすめの本。

 

4. 犯罪捜査の心理学 凶悪犯の心理と行動に迫るプロファイリングの最先端

 


犯罪捜査の知見を確かな研究の元に紹介している、極めてアカデミックな本。
主にプロファリングの歴史とその手法の紹介がメインだが、犯罪者の分類やその傾向を探る章もあり、犯罪系の話に興味がある人は誰でも楽しめる内容となってる。

面白いと思ったのが連続殺人犯の項で、男女によって殺人動機が異なるという点。
男は性的欲求を満たすために連続殺人を犯すケースが多いという。デッド・バンディや、ジョン・ウェイン・ゲイシーなどその典型例だ。
だが、女が連続殺人を行う場合、性的動機に起因することはほとんどなく、どちらかというと金銭的動機に基づいて犯行を行う場合が多い。

こうした男女差は興味深い。
また、犯罪者の多くは男で、殺人犯も男だ。なぜ男は犯罪者になりやすいのだろうか。

この点については本書では何の解説もなかったが、筆者は、「科学でわかる男と女の心と脳 男はなぜ若い子が好きか?女はなぜ金持ちが好きか?」に書かれていたある主張を思い出した。

その主張とは、男は殺すことで栄誉と地位を獲得してきたという、進化論的な事実の話だった。
戦で敵の大将のクビを取れば、それこそ表彰モノであり、そのような手柄を立てた者は最高の栄誉と地位を獲得できただろう。
栄誉と地位を獲得できれば、当然金も手に入る。

女はより優秀な男、より資源(金)を持った男に惚れるように脳がプログラムされている。
なぜなら、無能な男の遺伝子を受け入れては、子孫の生存率が下がるからだ。

女は無能な人畜無害男より、有能な殺人者を選ぶ。

なので、殺すことで栄誉と地位を勝ち取った男は、女にも選ばれるようになる。

男にとって殺すことは信じられないくらいメリットがある行為なのだ。

そうした陰惨な歴史が、多くの殺人者が男である理由なのかもしれない、と本書では結論づけられている。こわ。

 

5. 睡眠の科学 改正新版

 


悲しく虚しく積み本になっていたので、ようやく消化した。

「生物はなぜ眠るのか」という単純な問いに、今の科学は明確な回答ができない。それだけ睡眠の世界は謎で満ち溢れている。

非常に痛快だったのは、人によって睡眠習慣は違うが、それは遺伝子のせいだよ、という主張だ。

睡眠相後退症候群という睡眠障害は、Per3という時計遺伝子が変異しており、そのせいで睡眠時間および覚醒時間が、通常の人より遅くなってしまうことが確認されている。

逆に、家族性睡眠相前進症候群では、Per2という遺伝子に変異があるせいで、体内時計のリズムが短縮化されてしまう。結果、早く眠り、早く起きる身体になってしまうのだ。

睡眠のリズムは、微妙な遺伝子の違いで大きく変わる。

このように、人の個体差や個性は、様々な遺伝子にある微妙な差の蓄積であると考えられているらしい。

したがって、ビジネス書にやたらと多い、「成功者は皆朝型生活だから、あなたも、朝型になろう」という朝活礼賛の教えはかなり無理がある。
夜型の遺伝子を持っている人に朝型生活を進めようとも、遺伝子が変異でもしない限り、おそらく睡眠習慣は変わらない。
筆者も夜型生活を変えたいと思うが、多分一生変わらないと思う。

 

6. 性の進化史 いまヒトの性染色体で何が起きているのか

 


最初から最後まで一貫して性染色体のお話。

近年男の精子量が減少しているという事実から、いずれ男はこの地球上から消えてしまうかもしれないという、残酷な未来を予見したところから本書は始まる。

ご存知、XXの染色体で女になり、Yが一個あると男になる。(つまりXYで男になる)
しかし、そのY染色体が劣化しているという。
これは一体なぜか。
その理由は非常にシンプルで、Y染色体はスペアがないからだ。

X染色体は2つある。何らかの要因でX染色体が傷ついたとしても、もう一方の正常なX染色体がそのリカバリーをする。
だが、Y染色体は相方がいない1人ぼっちの遺伝子だ。
すると、Y染色体が傷ついてもスペアがないから、その傷ついた遺伝子が精子を介して次の世代に伝えられてしまう。これを何万回何億回と繰り返すと、Y染色体は退化の道を歩んでいくしかなくなる。

こうなると、精子が減少し、Y染色体も弱りに弱り、もはや男は生殖補助医療に頼らないと子孫を残せなくなるという、グロテスクな未来につながっていくという。

 

7.8.9 お迎えに上がりました。国土交通省国土政策局幽冥推進課

 


3冊一気に読んだ。

ポップな作風のくせに、日本の社会問題や、消えゆく文化とその文化と共に生きてきた人たちの姿が描かれたりと、結構ハードなテーマを扱ってる感。

ネタバレになるので詳しく書けないが、3巻の「火車先輩のためのお葬式」は、消えゆく日本文化に対して、夕霞が一つの答えを出した名エピソードだった。

ちなみに、本作は漫画化もされているので、そっちも読みたい。
なんか漫画だとやたら火車がもふもふになっててかわいい。

 

10. 紙鑑定士の事件ファイル

 


紙鑑定士という奇妙な職業に就いている主人公が、紙にまつわる難事件を解決していくというミステリー作品。
一つ失敗したのが、これは初作ではなく、2作目だったということ。
読む順番間違えたわ。

感想はというと、正直結構話が地味で、筆者の好みではなかった。

 

11. 剣持麗子のワンナイト推理

 


新川先生の3作目。ノールックで購入。

どぎつい女主人公剣持麗子が、今作でもその辣腕を振るうわけだが、いかんせん短編集という本の構成上、ややミステリー要素が浅いかなと思ってしまった。
けど、それは前作が凄すぎたからそう思うだけであって、普通にミステリーの短編集モノと考えれば面白い。
しかも、随所に伏線が散りばめられており、最後にしっかりその伏線が回収されるので、読み終えた後のスッキリ感がある。

なお、筆者は新川先生の3作品の中では、「倒産続きの彼女」の彼女が一番面白かった。

 

おわりに

 

白状すると、「睡眠の科学」と「性の進化史」は読むのに苦労した。
事前知識がほぼ何もなかったからだ。
特に性の進化史は四苦八苦しながら読んだ記憶。

まともな修学児じゃなかったツケがこういう時に回ってくる。

はやいとこアホを卒業したいものである。

【2022年3月】今月読んだ5冊の本

確定申告作業に悩殺され、ろくすっぽ本なぞ読めないかと思ってたけど、なんだかんだ5冊読めた。
というわけで、例の如くいつもの通り今月読んだ本のご紹介。

目次

 

1. 虚構推理

 


Twitter広告で知った作品。
調べてみれば、虚構推理は漫画化、アニメ化もしており、昨今の出版不況下では珍しく成功している作品の一つ。これは面白くないわけがない。

と、大いハードルが上がった状態で読んでも、そのハードルを優に超える面白さだった。

通常のミステリーは、謎を解くのが主眼なのに本書は「謎を作る」というのが本筋。
真実の追求よりも虚構を作り上げることに執心する主人公。新しい。

キャラクター同士の会話の掛け合いも楽しく文章も軽妙。
これは次作もリピしようと思った。

 

2. お迎えに上がりました。国土交通省国士政策局 幽冥推進課

 

 

社会のシステムからはじき出された哀れな主人公は、たまたま募集していた国土交通省の非正規社員になるが、そこはとんでもない課だった。
幽冥推進課。

現世に不法滞在する元国民様、とどのつまり幽霊を冥界(あの世)にお送りすることが、この課の仕事。これだけでもアンタッチャブルなのに、この幽冥推進課にいる職員は、主人公を除き全員人間ではないというはちゃめちゃな職場。主人公は終始混乱しながら業務に従事していく。

サクッと読めて、ちょっと良い話で、主人公の成長も見られる、至極真っ当なお仕事小説。
これも虚構推理同様、連作らしいのでリピ決定。

 

3. ひと

 

ひと

ひと

Amazon


早くに両親をなくし、経済的な理由で大学を中退し、奇妙な縁で知り合ったコロッケ屋のアルバイト生計を立てる羽目になった柏木聖輔。
唯一の親戚らしい親戚は「金を貸してくれ」と金の無心をしてくる有様なので、頼れる人は誰1人おらず、まごうことなき天涯孤独。

人が良い聖輔は自己主張をせず、金を貸してくれと言われれば貸し、そのコロッケを譲ってくれと言われれば譲る性格だが、そんな聖輔が最後に大事なものを見つける。

そんなお話。

筆者は親こそ死んでいないが、頼りになる親でもないし、いざという時に助けてくれる親戚もいないので、聖輔の悲運な状況が自分と重なりバリ感情移入。一気に読み進めてしまった。
温かい気持ちになれる名作。

 

4. 教養悪口本

 


人の悪口を言って生計を立てている最低野郎こと堀元見氏の処女作。

著者の幅広い知性・知識・そしてユーモアが存分に発揮された名作。
爆笑しながら読み終えた。
植物だったらゲノム解析されるであろう愚鈍な筆者なので、本書で紹介されている数々の素晴らしい悪口を使う機会があまり思い浮かばなかったが、ワンパターンの悪口しか展開できないヤフコメ勢に寄贈したいと思える本だとは思った。

 

5. 不条理な会社人生から自由になる方法

 

 

橘玲大先生の本なのでノールックで購入。
タイトルからは想像もできないであろう、残酷な現実が次々と指摘される、非常にきっつーい内容。
海外と日本の働き方を客観的なデータで比較すると、如何に日本が遅れているかがわかる。

また、非正規公務員の項もかなりエグく、現役非正規公務員の筆者としては震え上がるしかなかった。

ゲームに勝つには、まず自分がやっているゲームがどういうゲームなのかを把握するのが大事なので、そういう意味では本書は、ゲームの概要、ルール、勝ち方、などを明示してくれるのでかなり役立つといえるだろう。

 

おわりに

 

自分の興味テーマの一つに「男女関係」があったけど、様々な分野の本を読んだことで一旦ある程度の結論が出たので、今後それ系の本を読むことは減るかも。

だったらどういうテーマに移行するかといえば、特に明確なテーマは定まっておらず、その時々で気になる本を雑多に読み進めていこうと思う。

ではでは。

【2022年2月】今月読んだ8冊

2月は果てしなく暇だったくせに、冊数は大して積み上がらない。

というわけで今月も今月とて、誰も興味がないであろうしんま13の読んだ本の紹介です。

目次

 

1. 残酷すぎる成功法則

 


大体成功本なんて、「こうすれば成功できるよ。なお、ソースは俺!」というクソしょーもないサンプル数1再現性0のものばかりで、地球資源の無駄遣いである本が多いのだが、本書は、「成功を科学する」と掲げているだけあって、方法論に説得力がある。

なんせ、参考文献のページだけで30ページもあるのだから頼もしい。

普通に読み物としても面白かったが、わりと既知の情報も多かったので、自身の知識の再確認みたいな読後感だった。

 

2. 一生お金に困らない山投資の始め方

 

一生お金に困らない山投資の始め方

一生お金に困らない山投資の始め方

  • 作者:永野彰一
  • クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
Amazon


山投資という新たなジャンルを切り開いた一冊。
さしたる資産価値を持たない山に、「電柱敷地料」というキャッシュポイントを発見した永野氏が、その知見を余すことなく紹介してくれる。

この本で一本記事を書いたので、詳しくはこちらを参考にされたい。
参考: 「山投資」 誰もが知らない山の儲け方 - 要件を言おうか

 

3. 残念な「オス」という生き物

 


論理的思考を放棄した、傍若無人なフェミニスト共が、薄っぺらい男女論を語っている様に辟易しているので、筆者はよくこの手の生物学的な観点から男女論を語る書籍を読む。

本書は、様々な生物の様々なオスとメスの形を紹介し、シンプルに知的好奇心が満たされる内容となっている。
本書を読むと、なぜ男が女を守らなければいけないのかがよく理解できる。

 

4. 夜と霧

 


説明不要の名作。
昔一度読んだことがあったが、その当時の自分には難しくて内容が理解できなかった。
なので、多少知恵のついた今に読み返してみた。

1944年、アウシュビッツ強制収容所。
200人キャパの収容所に1500人が詰め込まれ、被収容者はほぼ水のスープ、わずかなパンでその命を繋ぎ、強制労働に従事させられる。
体力がない者は日々衰弱していき、衛兵に、「こいつはもうだめだ」と思われたら即ガス室行き。

衛兵のほんの気まぐれで生死が決定するこの世の地獄で、著者フランクルは、生きる意味とはなんなのかを問いかける。

「なぜ生きるかを知っている者は、どのように生きることも耐える」とフランクルはいう。

辛いことがあった時、何度も読み返したい至高の名作である。

 

5. 銀狐は死なず

 


クライムサスペンス小説。
昔気質の犯罪者「銀狐」。弱い者からは奪わず、殺さず、を守っていたが、時代の変化についていけなくなり、あるヤクザの現金輸送車強奪を最後の仕事にすることを決意。
だが、嵌められる。

嵌められ、ヤクザや殺し屋から追われる身となり、さてどうなるか・・・というお話。

めちゃくちゃ面白かった。
主人公の銀狐が、とにかくハードボイルドで悲しい過去を背負っており、実に魅力的。
そんな銀狐を慕うノラもまた悲しい過去を背負っている犯罪者で、これがまた良い味を出している。
緊張感溢れるクライムサスペンス、最高。

 

6. 五つの季節に探偵は

 


探偵モノ小説。
主人公の緑は、女子高生時代同級生から調査業務を依頼されてから、人の本当の姿を暴くことに魅了され、卒業後、即探偵になる。

5つのエピソードがあり、どのエピソードも意外な結末が待ち受けているので、ミステリー好きにはたまらない。

 

7. 甘美なる誘拐

 


元彼の遺言状の裏に隠れて知らなかったけど、本書はこのミス文庫グランプリ受賞作品である。
誘拐ミステリーモノ小説。

振るわないヤクザの下っ端2人、地上げ屋の嫌がらせに苦しむ零細企業、脱法行為で稼ぐ宗教団体、様々な登場人物たちが登場して、「一体この話はどこに帰結するのだろう?」と読み手を不安にさせるが、ちゃんと散らかったエピソードは綺麗にまとまる。

読み終えた後の爽快感がすごい小説。

 

8. 不可逆少年

 


事件モノ小説。
狐面の少女は、殺し方を選ばせてあげるといい、拘束した男の前に、ナイフ、トンカチ、ロープ、注射器を置く。
こんな調子で少女は3人の人間を惨殺。これが世間を騒がせた通称フォックス事件。
一体なぜ少女はこんな凶行を行ったのか。
家庭裁判調査官の瀬良は、徐々に事件の確信に迫っていく。

中々ハードな話ではあるが、事前知識があるかないかで面白さが変わってくる作品だと思う。
筆者は、たまたまこれ系の知識があったのでめちゃくちゃ興味深く読めた。
事前知識用の本を紹介したいところだが、そうすると壮大なるネタバレになるのでやめておく。

 

おわりに

 

Kindleで本を買えばいいのに、「本は紙で読みたい」という時代に取り残された老兵のようなメンタリティを持っているものだから、本棚が爆発しそう。
漫画はKindleで読むんだけどなあ・・・。

【2022年1月】今月読んだ7冊の本と、よもやま話

メンタリストDaiGoは1日に20冊の本を読むらしい。
つまり年間にして7200冊の本を読破していることになる。

総務省統計局によれば、令和元年は年間71903冊の書籍が発売されている。つまりダイゴは、年間点数の実に10%もの本を読んでいることになるわけだ。

参考: 統計局ホームページ/日本の統計 2021−第26章 文化


ほんとにそんな読んでるんスカ??

ダイゴと違って単なる凡人でしかない筆者は、せいぜい月に7冊程度である。
というわけで今月読んだ7冊を紹介していく。

目次

 

1. 特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来

 

 

2022年第20回、「このミステリーがすごい!」大賞受賞作品。


強烈なタイトルに惹かれて即買いした。

内容は、元パテントトロールだった敏腕弁理士「大鳳未来」が、不可解な特許侵害に立ち向かうというものだ。

結論から言えば本書はめちゃくちゃ面白かった。

印象的なエピソードは、未来が敵地に単身乗り込んだシーンだ。
未来はアポも取らずに敵地に乗り込み、わざわざ会ってくれた重役たちに感謝するわけでもなく、一方的に自分の用件を伝える。
肝が座っているというかなんというか。

しかも、ぽかんとする相手が「で?」と聞けば「は?」と睨み返す始末である。
メンタル!!

前回のこのミス大賞、「元彼の遺言状」も、主人公の剣持麗子が「強い女」というキャラだったのでやや既視感があるにせよ、やはりこの手のキャラは見てて爽快である。

 

2. マネートラップ 三流詐欺師と謎の御曹司

 


チンケな詐欺師とビッグな御曹司がタッグを組み、カモを次々と嵌めていくクライム作品。

漫画、アニメ、小説、映画、媒体問わずクライム作品が好きなので読んでみた。
読みやすくそこそこ面白いが、読んだ後に何も残らない深みのない小説だった。

2作目もあるそうだが、多分読まない。

 

3. お前なんかに会いたくない

 


スクールカーストに縛られた高校生クラスメイトたちのお話。

校庭に埋めたタイムカプセルの開封を兼ねて同窓会をしようという話になるのだが、そこで、「岸本李矢さんを覚えていますか?」という不信な書き込みから、岸本を除いた6人の主要登場人物たちが悩み葛藤していく。

各登場人物の視点から、高校生時代と10年後現在の模様が描かれるのだが、とても心理描写がうまく読み応えがある。

思い起こされる過去の記憶
忍び寄るコロナの猛威
迫りくるXデー(同窓会決行の日)

「一体この作品はどういう結末に行き着くのか?」と気になりページをめくる手が止まらない。

ただ、その肝心の結末は筆者的にちょっと消化不良だった。
なんかこう、もうちょいわかりやすいクライマックスがあってもよかったんじゃないかと思ったり思わなかったり。
これに関しては読み手の好みの問題かも。

 

4. 今さら聞けない!経済のキホンが2時間で全部頭に入る

 

 

経済の勉強をしなおすために買った一冊。
筆者みたいな、ホームラン級のアホでも理解できる内容で非常に好感が持てる一方、気になる点も。

それは食料自給率の項だ。

ご存知、日本の食料自給率はカロリーベースで計算されている。
カロリーベースで計算すると野菜はカロリーが低いのでポイントが下がる。
なので、農家がどれだけ頑張って野菜を生産しようと、カロリーベースで計算してる限り日本の食料自給率は低いままになる。

その点に一切触れずに、「日本は世界有数の食糧輸入大国」と結論づけていたのは、どうにも解せない。

まあ、キホンの「キ」を学ぶ本なので、そんなのわざわざ書く必要はないと判断しているだけなのかもしれないが。

 

5. モテる構造 男と女の社会学

 

男女のモテの構造を社会学から分析するという、極めてアカデミックな本。

どういう男がモテるかといえば、男らしい男がモテる。
男らしいとは何か。それは仕事ができる人である、と本書では定義される。

女は仕事ができる男に惹かれる傾向にある。

一方、女は仕事ができることがモテに直結しない。
外見的魅力、若さ、などが女のモテの指標となる。

この男女の非対称さが男の生きづらさ、また女の生きづらさを生み出していると本書では主張している。

男目線で理不尽だと思ったのが、できない女は受け入れられるが、できない男はモテないのみならず、男性同士のコミュニティからも排除されてしまうという点だ。

結局男はどうしたって競争することから逃れられない。

別の書籍になるが、「「非モテ」からはじめる男性学」でも、モテないことによって、男友達から一段下に見られて辛い思いをしたという非モテがたくさん登場する。

男にとってモテないということは、自身の社会的な立場が揺らぐ重大問題なのかもしれない。

 

6. 口説きの教典 カリスマナンパ師”ミステリー”の恋愛メソッド

 


英語ではナンパのことをPickup(ピックアップ)という。
著者のミステリーは、自分たちのようなナンパ師をPUA(ピックアップアーティスト)と自称する。

つまり、彼らに言わせてみれば女をナンパするのはアートなのだ。
本書はそのアートの全貌をくまなく紹介している。

断っておくと筆者はナンパに一切興味はない。
ではなぜ本書を読んだか。

それは橘玲著の、「裏道を行け ディストピア世界をHACKする」の、「恋愛をHACKせよ」の項で、ミステリーをはじめとしたナンパ文化が取り上げられてて、内容が非常に興味深かったからだ。

彼らPUAはまさに恋愛をHACKする方法を編み出した。

本書では、女と出会い、どうやって声をかけ、如何にベッドに持ち込むかが、進化論的な観点、そしてミステリー自身の経験則から事細かにマニュアル化されている。

PUAたちは女を10点満点で数値化し、6点未満の女は相手にしない。
6点以上の女をベッドに持ち込むのがPUAの腕の見せ所なのだ。

つまり、PUAは6点以上の女と「セックス」することが最大のゴールで、そこから先の発展性はまるで考えていない。

これは、PUAは短期的な関係性の構築に長けているが、長期的な関係構築の方法には疎いことを意味する。

これがどういう結末を招くかといえば、PUAは「本当の愛」を手にすることができないということだ。
(愛をどう定義するかによるが、ここでは生涯を共にしてくれるパートナーのことを指す)

なので本書に興味がある人は、それを踏まえた上で読んだ方がいいかもしれない。
(PUAの顛末については前述した「裏道を行け ディストピア世界をHACKする」に詳しいので、興味ある方は参考にされたい)

もう一つ注意点を上げると、本書はクラブやパーティーなどでのナンパ基本としているので、あまり日本向きとは言えない。
もしPUAになりたいなら、本書のマニュアルを自分流にアレンジする必要があるだろう。

批判気味に書いたが、女を口説くステップはそこそこ学びがあった。

PUAは女にアプローチをかける際、以下の3ステップで事を運ぶ。

1. 惹きつける(自身は高い価値の男であることを示し、女の関心を集める)
2. なごみを築く(信頼関係の構築)
3. 口説く


この順番が崩れると、途端にナンパはうまくいかなくなるとミステリーは忠告する。

言われてみれば、モテない男ほど一か八かのギャンブルみたいに、いきなり女に告白したりする。結果は言うまでもなく悲惨なものとなる。

軽薄なPUA共に学ぶのもなんだかシャクだが、これは参考にしていいだろう。

 

7. ヤバい経営学

 


これまで常識とされていたビジネスの常識をことごとくひっくり返す圧倒的良書。
タイトルは俗っぽいが、極めてアカデミックな本である。

本書は、

・事業計画はほとんど意味ない
・企業買収はほとんどうまくいかない

・大成功した経営者は「ラッキーなだけのおバカさん」であることが多い
・優れたイノベーションは偶然発見されることが多い


などなど、興味深いトピックに事欠かない。

本書で得た知見を、各所でばらまきインテリぶりたい所存。

 

【おわりに】よもやま話

 

小説を除けば、見事「金」と「女」に関係する本しか読んでいない。
煩悩だらけである。仏教の教えに全力で中指を立てていくスタイルである。

とはいえ、筆者は「金」と「女」を手にするために己の命を燃やしているわけで、神様ごときにイチャモンつけられたくない。

幸福の土台には必ず「金」があり、「己の子孫を残したい」という強烈な本能は「女」を欲する。
筆者は己の幸福を最大化するために努力しているだけなのだ。

ただ、ビジネスと恋愛は、100の知識より10の実践がモノを言う世界なので、本を読んでるばかりではなくしっかり実践もせねばならない。

なのでオフパコの誘い大歓迎です。じっせんじっせん!

陰謀論にハマる人はバカなのか?

昨年はマック退職に伴い果てしない余暇が発生し、本を読みまくった。
本を読んだならしっかりアウトプットしておこうということで、今回は橘玲著作の「無理ゲー社会」から陰謀論にまつわる興味深い話を紹介する。

 

大前提として、進化論を研究している学者たちが口を揃えて言うのは、「我々の脳みそは1万年前と対してして変わっていない」ということである。

この考えをベースにした時、荒唐無稽な陰謀論にハマる人たちの正体が掴めてくる。

目次

 

闇の政府を信じるQアノン

 

Qアノンとは、この世界に「ディープステート」と呼ばれる闇の政府が存在するとされる陰謀論である。

Qアノンは、

「政界やメディア、金融界は子どもの性的人身売買を行う悪魔崇拝者に操られている」

と主張し、ドナルドトランプはそうした闇の政府と戦っている英雄であると考えている。

アメリカ連邦議会議事堂を占拠したトランプ支持者たちも、Qアノン信仰者が多くいたという。

無論、闇の政府の存在が客観的に証明されたこともないし、トランプが闇の政府と戦っているという事実も、筆者が知る限りない。

「いつの時代だって頭のおかしい奴はいる。そんな奴らは放っておけばいい」

と言いたくなるが、橘玲氏いわくそもそも我々の頭は陰謀論を考えるようになっているらしい。

 

科学で考えない脳

 

f:id:youkenwoiouka:20220106210157p:plain


科学の世界を生きる我々にとって、科学で思考するのは当たり前だと思っている。

飛行機を見て「あれは魔法で飛んでいるんだ!」と言う人は1人もいない。
ほとんどの人が、飛行機はエンジンの推進力と翼が作る揚力で浮くのだと理解する。

しかし、人類が生きてきた歴史を考えてみれば、科学がない時代の方が長かった。
科学的な世界が確立したのはせいぜい400年前で、それ以前の我々は非科学的な世界を生きてきたのだ。

雨が降らなければ雨乞いをしたし、大規模なウィルスが人類を襲った時はただ神に祈ることしかできなかった。

我々人類は、この世界に巻き起こる理不尽不条理を正しく理解できていないなかった。
そして、理不尽不条理がなぜ巻き起こるのか理解できないと、それはとても怖い。
なぜなら、対処しようがないからだ。

この不安から逃れるために我々人類は、あらゆる理不尽不条理に「意味」と「説明」を求めた。
しかし、科学がない世界で理不尽不条理に向き合おうとすると、それは必然的にな神秘的、呪術的な方向に行かざるを得ない。

こうして世界中そこらに神話と宗教が生まれた。
したがって、我々人の脳はそもそも科学で考えるようにはできておらず、非科学的に考えるように設計されている。

それは科学的概念が当たり前となった今でも、変わらない。
意識的には科学で思考するように努めようとするが、無意識下では未だ神秘的で呪術的な方向で思考してしまう。
なぜなら脳は1万年前と対して変わっていないのだから。

これが人が陰謀論にハマる正体だと橘玲氏は説く。

陰謀論にハマる人がバカというより、人は陰謀論で考えるのが自然なことなのだ。

【参考】
Qアノン - Wikipedia
無理ゲー社会/ 122p〜絶望から陰謀が生まれる時

 

我々は不公正な世界を受け入れられない

 

tunnel with light turned on during night time

人が陰謀論で思考するもう一つの補強材料が「公正世界信念」だ。

公正世界信念とは、「この世界は公正である」と思い込む認知バイアスの一つである。

悪いことをした人には罰が下り、良いことをした人はきちんと報われる世界であるべきだと人は無意識化で考える。

しかし、いうまでもなくこの世界は公正とは言い難い。
世界は様々な理不尽不条理に溢れている。
独裁政権、戦争、汚職、貧困、挙げればキリがない。

こうした理不尽を目の当たりにした時、人は現実を正しく直視できなくなる。
だからこそ、理不尽なデキゴトの正体を陰謀論にして、世界をなんとか公正に保とうとする。

勧善懲悪のドラマが好まれるのはこのためだ。


かくいう筆者も無意識化では世界は公正であると信じていた。
その原体験の一つが「落とし物」だ。

当たり前ではあるが、筆者は財布を拾ったらネコババせずに交番に届けるようにしている。
その善行が幸いしてか、筆者自身が財布を落としても必ず交番に届けられていた。

「ちゃんと人の財布を交番に届けているから、自分が財布を落としても誰かが交番に届けてくれるんだ」

と無意識に理解した。

筆者のこの公正世界信念が崩れたのが「マックからの追放」体験だ。


この体験は、筆者の公正世界信念が根底から揺らいだ出来事だ。

なぜなら筆者は仕事で結果を出していたし仲間からも信頼されていた。(おそらく)追い出される理由が何一つなかったからだ。
にもかかわらず、店長の策略によって、マックから放逐された。

筆者をマックから追い出した店長は、仕事中にニトリに行き自分用の家具を買いに行くような働かない人だった。

そんなしょーもない店長は今でものうのうとマックにいる。

この腹立たしい現実が決め手となり、筆者は「世界は決して公正ではない」と考えを改めるに至った。

筆者が良い例であるように、理性的に振る舞おうと努力をしていても、無意識化では公正世界信念で思考してしまうのだ。

【参考】
陰謀論とは何か そのメカニズムと対処法 : 文化 : 記事・論考 : 調査研究 : 読売新聞オンライン
公正世界仮説 - Wikipedia

 

おわりに

 

筆者が好きなYouTubeチャンネルの一つが「令和の虎」。
これは伝説のテレビ番組「マネーの虎」をYouTube上で復活させた激アツチャンネルだ。


このチャンネルに208人目の志願者として登場した星乃さんという方が、「タイムウェーバー」という怪しげな機械を虎たちにプレゼンする。


www.youtube.com


星乃さんの説明によれば、なんでもこのタイムウェバーは人生を最適化するために作られているらしく、この機械を使えば誰でもハッピーになれるらしい。
星乃さん自身もこの機械で願いが叶ったという。

控えめに言ってめちゃくちゃ怪しい。怪しさしかない。

機械で願いが叶うなら筆者は今頃100億円の資産を築き上げ石原さとみと結婚してる。ついでに何らかの形で国民栄誉賞も受賞している。金、女、名誉、全てを獲得しているはずだ。
しかし現実は、さとみはGS社員に奪われ、長いことゴミためみたいなアパートで底辺暮らしである。たまにする贅沢は、コメダ珈琲でコロッケーバーを飢えた餓鬼の如くバカ喰いすることくらいだ。

星乃さんは「これは科学だ」と言ったが、なぜこの機械で人を幸せにできるのかの根拠を問われると、全く科学で説明できなかった。

その時点で科学ではないと思うのだが、彼女は、この機械はスピリチュアル的なものではないし、占いとも違うと主張する。

そんな星乃さんを見て虎の1人である桑田社長が、「傷ついた人が助けを求めるのがこういうとろこになるんだな・・・」と嘆いていた。

スピ系にハマる人も陰謀論と同じ仕組みなんすかね。
ナンダカナー。。。

【読書感想】凡人くんの人生革命 -ヒトデさんは賢い男である

ヒトデさんはユーモアあふれる独特な文章でファンを増やし、気づけば会社を辞めブログ一本で食っていく道を選択し、現在はYouTubeでの発信や、ブロガーが集うコワーキングスペースの運営など、多岐にわたる事業を展開しておられる実業家。


はい、そんなすげえ人が本を出しました。

「嫌なことから全部抜け出せる 凡人くんの人生革命」
 

嫌なことから全部抜け出せる 凡人くんの人生革命

嫌なことから全部抜け出せる 凡人くんの人生革命

  • 作者:ヒトデ
  • 発売日: 2021/03/17
  • メディア: 単行本
 


おめえどこが凡人だよ!!おめえが凡人なら俺はミジンコじゃねーかよこの野郎!!

と、本物の凡人にケンカを売るような本のタイトルに脊髄反射でキレそうになった筆者ですが、批評は読んでからすればいい。
ってことで、本日はこの本の感想でございます。

目次

 

どんな本?

 

本書は、嫌なことから抜け出すために、自分を変えるための現実的な方法論をしっかりエビデンス付きで紹介している至極真っ当な内容になっています。
なので、良い意味で肩透かしを食らいました。
(なんかこう、再現性のない個人の体験談が羅列されてる本が多いので)

実際にページをめくってみると、紹介されているノウハウは実に堅実なもので、凡人でも実行できそうなものばかり。

本書のターゲット層としては、

・会社を辞めたい
・自分を変えたいけど方法がわからない

・副業で稼げるようになりたい
・基本的なブログ運営ノウハウが知りたい
・単純にヒトデファン


こんなところでしょうか。
購入を迷っているなら、このターゲット層に合致してるかどうかでご判断ください。

 

【本書の感想】堅実堅実、とにかく堅実な内容

 

本書の帯に「月収1500万円を超えるまでに得たノウハウを大公開!!」と書いてあるもんだから、目玉が飛び出るような仰天ノウハウが凝縮されてるかと思いきや、先ほども述べたように、1章から5章まで一貫して堅実な内容が続きます。

例えば本書の一章「生活革命」では、時間の重要性を説いた上で、朝方生活することを強く勧めています。

時間を生み出すために朝方生活するなんて、ある意味当たり前と言えば当たり前ですが、しかし誰もがなかなかできないこと。
それを本書では、誰でも朝方生活できるように、これでもかっていうくらい単純でわかりやすくノウハウを解説しています。

第三章では退職から成功までのロードマップが解説されていますが、ヒトデさんは会社を辞めて大成功にしたにもかかわらず、ただ闇雲に退職を促すわけではなく、会社員が向いてる人は会社員のままで良いとまで言い切ります。

どこぞのインフルなエンサーは、「サラリーマンは奴隷!!」「会社を辞めてあえて自分を追い込むことで稼げるようになる!!」などと、根拠薄弱なポジショントークを繰り広げる中、ヒトデさんは決してそのようなことは言いません。
とにかく石橋を叩いて渡れ」、ヒトデさんはそう主張します。

なので、とにかく堅実!堅実!堅実極まりない!


人の悪口を言って大金を稼ぐ物申す系ユーチューバーが乱立しているので、筆者も本書をボロカスに酷評して広告収入を獲得しようとセコイ算段を立ててましたが、残念ながらこれだけ堅実かつ現実的な内容だと、酷評するにも酷評できません。ちっ!

とどのつまり、良い本でした。

 

本書をどう活かすか

 

税込みで1540円払って本書を購入したので、なんとしてでも1540円以上のリターンは出したい。ケチな筆者はそう考える。
そこで、本書をどう自分に活かすか、それを考えてみました。

ぶっちゃけ筆者は副業で月5万円以上稼いでるし、なんだったら今月は10万いきそうなので、副業の章に関してはそこまで参考にならない。
また、別に筆者は会社勤めでもないから退職の章もあまり活かせない。

ならば何が参考になるか、何が活かせるか。リストアップしてみました。

・朝方の習慣をつける(超絶夜型人間なので)
・ストック型のビジネスを育てる(現在のビジネスが単発型なので)
・「MOFT」のPCスタンドを買う


こんなとこでしょうか。
全て実践できれば1540円の元は取れるでしょうね。
なお、本日の起床時間11時。前途多難である・・・。

 

【人物評価】ヒトデさんは賢い男である

 

何者でもない底辺な筆者が、最強の海洋生物であるヒトデさんを評価するなんておこがましいことこの上ないですが、書きたくなったので書きます。

というのも、昔からヒトデさんを見ててすごい賢い方だなと思ってました。

ヒトデさんほど有名になるとやっかまれたりひがまれたりして、バッシングの対象になったりしますが、ヒトデさんはそのバッシングに対して絶対感情的になって反論したりしません。

内心「うるせえわボケ」と思っていたとしても、そんなことをTwitterなどで言ったところで得は何もありません。

だから絶対感情的な行動は起こさず、常に損しない賢い立ち回りを心がけているのです。

また、コミュニケーションの部分でも、非常にユニークでウィットの効いた言い回しを使ったりするので、「ああ、こういう返しができるってやっぱ頭いいなあ・・・」と感じます。

ヒトデさんはネットでの立ち回りやコミュニケーションにとにかく長けている。
よくわからんTwitterゴロに絡まれて、レベルの低いケンカを全世界に発信して黒歴史を更新してきた筆者とは大違い。きっつー。

脳みそ交換してぇっすわ。

 

 

おわりに

 

あまりに周りには言ってませんが、筆者は現在わりとどん底みたいな状況なので、本書で得た知見を活かしてなんとか這い上がりたいものですね。
ヒトデさんのように稼いでブログ婚してーわ。

そんな感じ!おわりっ

以上、【読書感想】凡人くんの人生革命 -ヒトデさんは賢い男である...でした。

 

嫌なことから全部抜け出せる 凡人くんの人生革命

嫌なことから全部抜け出せる 凡人くんの人生革命

  • 作者:ヒトデ
  • 発売日: 2021/03/17
  • メディア: 単行本
 

 

在宅中におすすめの起業漫画3選!【暇つぶし】

どうも、しんま13です。

某ウィルスが人類を襲っている関係で政府は7都道府県に対して緊急事態宣言を発令しました。
内容を見るに強制力はないようですが、とにもかくにも不要不急の外出を控えるよう強く訴えていました。

なので我々はディズニーにも行けないしカラオケで馬鹿騒ぎもできなくるわけで、ずっと在宅していなければなりません。

ずっと自宅にいるとなれば暇。兎にも角にも暇。まーじで暇。

てなわけでおすすめの起業漫画を3つ紹介しようと思います。
在宅中に読むべし。
「なんで起業漫画?」て思うかもしれませんが、漫画のまとめ記事で起業を題材にした漫画が紹介されていることが少ないので、この機会に紹介させていただきます。

全部読んだらきっとあなたも会社辞めて起業したくなるかも?時代はプロブロガー。
会社員はクソ、これからは高知の山奥に引きこもってブログで稼ぐ時代なんですようんたらかんたら、みたいな人にならならいようには注意してくださいね。
ではどうぞ!

目次

 

1 マネーの拳【全12巻】

 

マネーの拳(1) (ビッグコミックス)


「ドラゴン桜」や「インベスターZ」で有名な三田紀房先生ですが、起業を題材にした名作「マネーの拳」という漫画も描かれております。
自分はこの漫画が非常に好き。

【マネーの拳あらすじ】
ボクシングで世界チャンピオンになった花岡健が、居酒屋経営を始めるのだが、これが思うようにいかない。
そこでビジネスで大成した塚原からホームレス10人雇うことを条件に1億円の融資を得る。
建は1億円の融資と塚原からの経営指南を受けたことに加え、持ち前の強運と度胸でビジネス界でのし上がっていくのだった。


ストーリーは極めてシンプル。
ボクシングで頂点に立った健がビジネス界でも頂点に立つためにあの手この手でのし上がっていくというもの。
言うまでもなくビジネスで成功するというのは大変なもので、作った商品は思うように売れないし、横からライバルがちょっかいを出してくるし、上場したら上場したでより世間の監視の目が厳しくなるしとにかく大変。

作中では健がアパレルビジネスを始めた際に、大手商社「一ツ橋」の井川に目をつけられ、たびたび邪魔をされ苦難に陥ります。
しかし常に常識外の発想をする健はむしろこの井川を利用し、自分のビジネスを軌道に乗せていきます。

作者である三田先生自身も実家の衣料品店を経営していただけあって、ビジネスの進め方や話の展開は決して荒唐無稽ではなく実にリアルです。
そして本作最大の魅力が名言の多さです。
三田先生はどんな漫画にも読者の目を引くようなキャッチーな言葉あえて使っているそうです。
ドランゴ桜でいえば、「バカとブスこそ東大にいけ!」ですね。
そんな名言はマネーの拳でも健在です。
一部ご紹介。

楽して儲けるのが本当の商売だ。苦労して儲けるなんて誰にでもできる。人の2倍働けばいいだけのこと。
ただ、がむしゃらにやればそこそこ稼げる。

 

商売は自分がいかに楽な競争をするか・・・さらに・・・いかに競争をしないで済むかを考えるゲームだ。

 

儲かるビジネスの三原則は、
「設備投資があまりかからない」
「売り上げが季節に左右されない」
「商品のロスが少ない」

 

金はな・・・欲しいと思う奴のところにしか集まらねえんだ。
最初から普通でいいなんて奴には金は見向きもしねえ。一生貧乏してろ。


下手なビジネス本を読むよりよっぽどためになるんじゃないかとしんまは思います。

 

マネーの拳 コミック 全12巻完結セット (ビッグコミックス)
 

 

2 ハルロック【全4巻】

 

ハルロック(1) (モーニングコミックス)


一部界隈でマニアックな人気を誇る「ハルロック」。
作者は西餅先生。

どういう漫画かというと、電子工作が好きな女子大生のハルがロックでファンキーでモンキーでベイビーな発明をして周りを巻き込んでいく、みたいなお話。
一言でいうと電子工作漫画です。
タイムマシンを作るとか、そういうSFチックな話ではなく、ハルが作中で発明したものはどれも実際に作ることができるものです。

例えば、ハルが作中で開発した「猫Twitter」は実際に電子工作の祭典「Maker Faire Tokyo 2014(MFT2014)」に出展されました。
【参考リンク】

 

すごいですよね。
ちなみに猫Twitterがどういったものかというと、猫が自分の状況をTwitterに報告してくれるというもの。
これは猫の飼い主が自分が家にいない間に猫が何をしているか知りたい、猫の状態をちゃんと把握しておきたい、というニーズから開発された電子工作です。

このようにハルロックは「実際に作ることができる電子工作を作っている」という点に非常に価値があり、それゆえガチの電子工作好きから絶大なる評価を得ているのです。

「何が起業漫画紹介だよ!?ファンキーな女子の電子工作漫画じゃねーかよ!」と思った方もいると思うので、起業について触れていくとしましょう。

ハルロックは起業漫画というよりも電子工作漫画で、実際1~2巻までは電子工作がメインになります。
しかし3巻からハルは「あなたの発明品を元に起業をしない?」と持ちかけられ、ハードウェア・スタートアップ会社を立ち上げます。

事業の立ち上げ、資金集め、ニーズのある商品の開発、リリース、単なる電子工作が好きなだけだった女子大生のハルは、次々と目の前の課題を解決し成長していきます。

最初に紹介したマネーの拳と比較すれば、そこまでビジネスビジネスしているわけではありませんが、ハルロックにはハルロックの魅力があり、気がつけば自分でも電子工作をしてみたくなるような魔力がこの漫画にはあると思います。

最近自分はニンテンドースイッチが壊れてしまい、それを自分で直したことをTwitter上で報告しました。



修理という作業は別に電子工作ではないですが、既製品を自分で分解して修理するという工程はとても楽しかったです。
ハルも子供の頃はなんでも分解する分解魔だったといいます。
分解するのが楽しいというハルの気持ちが少しわかった気がします。
もしかしたらハルロックを読んだ人は僕と同じように何かを自分で分解してみたくなるかもしれませんね。
4巻で完結する漫画なのでとても読みやすいのではないかと思います。

モーニングの公式サイトで1話だけ無料で見れるのでよければぜひ。
参考リンク: ハルロック / 西餅 - モーニング公式サイト - モアイ

 

ハルロック コミック 全4巻完結セット (モーニング KC)

ハルロック コミック 全4巻完結セット (モーニング KC)

  • 作者:西餅
  • 発売日: 2015/04/23
  • メディア: コミック
 

 

3 王様達のヴァイキング【全19巻】

 

王様達のヴァイキング(1) (ビッグコミックス)

エンジェル投資家と凄まじい才能を持つハッカーを描いた漫画。
さだやす先生の作品です。

【王様達のヴァイキングあらすじ】
是枝一希は企業対してサイバー攻撃を仕掛けるほどの天才的なハッカーの腕前を持っているが、対人スキルと生活スキルの低さで生活はボロボロ。
ほとんどホームレスみたいな生活を送っていた。
そんな是枝に惚れたエンジェル投資家の坂井大輔は是枝に投資をすること決定。
こうして2人の冒険は始まる。


起業漫画はそこそこありますが、エンジェル投資家に焦点を当てた漫画は自分が知る限り王様達のヴァイキング以外ないです。
そういう意味ではかなり貴重な作品なのかもしれません。

ストーリー序盤は是枝がプログラミング以外の能力が壊滅的で、バイトをしても続かず、まともに人と目を見て話すこともできず、本当にひどい有様だったのが、坂井と組んで様々な事件や難問を解決していくうちに成長。
ストーリー終盤では、坂井の力を借りずとも自力で目の前の問題を解決できるようになるまでに成長していきます。

ハッカー同士の熱い戦い、警察への捜査強力、国家の陰謀、どのシリーズも面白く、夢中で19巻まで一気読みしました。

ちなみに自分が好きなキャラクターは警察官の神崎 翔太。
神崎は犯人逮捕のためにうまく是枝を活用し、通信の傍受が違法捜査と知りつつもそんなことはおかまいなしで犯人逮捕を優先させたりと、かなりぶっ飛んだキャラクターです。
一見ぶっ飛んでるように見えて、彼は自分の首が飛ぶことなど一切顧みず、目の前の悪を倒すために全力を尽くす正義感の持ち主でもあるのです。
神崎は管理官に違法捜査を問い詰められると、「全責任を僕がかぶります、何とぞ是枝一希の捜査協力を願います」と直談判。
是枝に「あんなこと言ってよかったんですか・・・?」と聞かれると、「言ったろ、この国は古すぎてダメだってさ。君みたいなのを使って一度ぶっ壊さないと。我が身を案じる奴には世界なんて動かせないだろ」と言い切ります。
いや、かっこよすぎでしょ。
僕こういう男らしい男めっちゃ好きなんですよ。

面白い漫画には総じて魅力的なキャラクターがいるものですが、王様達のヴァイキングは神崎を始め、多くの素晴らしいキャラクターがいます。
ぜひ一読あれ!

 

王様達のヴァイキング(1) (ビッグコミックス)
 

 

下手なビジネス本を読むより参考になる

 

自分は一時期いろいろなビジネス本を読んできましたが、その経験から言わせてもらうと下手なビジネス本を読むより起業を題材にした漫画を読んでいる方がためになるんじゃないかと思います。

別にビジネス本が内容的に劣っているとかではなく、漫画の方がストーリー仕立てで頭にスッと入ってくるというのが最大の理由です。
ビジネス本に書いてあった内容ってほとんど覚えてないけど、漫画はよく覚えているもん。

そんなわけで在宅中は本記事で紹介した起業漫画を読んで過ごしてみてはどうでしょうか。

ではでは。

以上、在宅中におすすめの起業漫画3選!【暇つぶし】...でした。