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要件を言おうか

マックで働くフリーターの備忘録

マクドナルド失敗の本質

読書
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しんまです。

タイムリーな本を書店で発見してしまった。

マクドナルド失敗の本質」



内容も確かめず即買いしました。

本書の大筋な内容は、マクドナルド誕生から今までの足跡を振り返り、経営学の観点から日本マクドナルドの売上であったり、客数であったりを分析していき、マクドナルドという会社の今日の失敗の原因を突き止めていくというものです。

今のマクドナルドの現状がひどいものだから、さぞかし辛辣な批判的内容を想像していましたが、実際はそうではなく、かなり客観的にデータを分析して、丁寧に解説がされています。

こいつは良い本を買ってしまった。



オーナー社長藤田田の日本的経営

ブログ用 藤田田00
出典http://boss.wizbiz.me/special/special1405_04.html

日本マクドナルドは1971年に、藤田商店を営んでいた藤田田と米国のマクドナルドが半分ずつ出資してつくられた会社です。

日本マクドナルドを創業するにあたって、藤田氏はかなり有利な条件で話を進め、

「アドバイスは受けるがオーダーは受けない」

藤田氏がレイクロック氏にそう言い放ち、日本マクドナルドは誕生しました。



マクドナルドをどこに出店するという話になった時、 米国サイドからは「アメリカで成功したように、日本でも自動車で乗りつけられる郊外に店舗を」というアドバイスがありました。しかし藤田氏はこれをはねつけ、「1号店は日本の中心、東京の、しかも銀座でなければならない!」との主張を通し、銀座の三越に一号店をオープンさせました。

つまり藤田田は、アメリカのマクドナルドをそのまま日本に持ってきても成功はしないと考えており、
藤田田マクドナルドをうまく日本的にアレンジして経営していたのです。

マクダーナルズ」を日本人が発音しやすいように米国の猛反対を押し切って、「マクドナルド」にしたのも有名なエピソードですね。




雇われ社長原田泳幸の米国的経営

原田泳幸 ブログ用
出典https://www.1101.com/okane/harada/2010-08-24.html

原田泳幸日本マクドナルドの社長に就任してからは、「基本に立ち返る」という方針のもとに経営改革が進められました。

つまり原田氏は、藤田田の日本的経営を脱却し、米国式のモデルに切り替えることを第一使命としました。

本書では原田氏が社長に就任後、最初に取り組んだ三つのことが丁寧な解説のもとに紹介されています。


1. ブランド力の回復

2002年の藤田時代に、ハンバーガーの値段を50円までに引き下げ、ディスカウント路線に舵を切りました。
しかしこうした値下げに消費者が慣れてしまい、値下げの効果はさほどなく、客足が戻ることはなかった。

そして過剰なディスカウント路線により、マクドナルドのブランドイメージは大きく下がりました。
この下がったブランドイメージを回復させるために、原田氏はさまざまな施策に取り組みます。


2. 店舗効率の改善

原田改革の二つ目は、経営効率化のため不採算店舗の効率を改善することに着手しました。
原田氏は採算が取りにくい、サテライト店の出店凍結を断行。


3. 商品の品質向上

マクドナルド最大の基準、Q・S・S回復こそが、経営の一番の鍵と考えた原田氏は、「メイド・フォー・ユー」の導入を決断。
メイド・フォー・ユーとは、注文が入ってから、商品を作るシステムのことです。
これを導入すれば常にできたての商品をお客様に提供でき、商品の品質は、今まで作り置きしていた商品より、格段に上がります。

もともと藤田時代に「メイド・フォー・ユー」の導入は決まっていましたが、中々計画が進まず、原田氏が就任後、早急にこのシステムを導入したとのこと。

このシステムを導入後、作り置きしていた頃と比べて、廃棄ロスが格段に減り、年間で40億円の経費削減につながったと言われています。

僕個人的にも「メイド・フォー・ユー」は、いい施策だと思います。

*Q・S・Cとは、全世界のマクドナルドの基準で、クオリティ、サービス、クレンリネスの略。



マクドナルド失敗の本質

ブログ用 螺旋階段

いよいよ本題のマクドナルド失敗の本質に入ります。

本書には以下の三つがマクドナルド失敗の本質ではないかと分析されています。


1. マーケティングの失敗(経営の短期志向)

突き詰めて考えると、どちらも短期的なマーケティング施策に走ってしまったことが、マクドナルドの先行きを危うくした原因である。
藤田氏は、1995年にディスカウントの進軍ラッパをならし、2000年頃には大勝利をもたらした。
世間からも注目浴び、「デフレの勝者」と賞賛されていた。
原田氏は、米国から持ち込んだ新商品(プレミアムコーヒー・メガマックなど)をヒットさせ、マクドナルドのV字回復により、メディアにも頻繁に登場するようになった。
両者それぞれ、価格プロモーションを重視した施策と、リメイクした商品投入(米国からのアイディア借用)だけでは先が見えていたはずである。
 
戦略転換8年目の危機 


確かにその通りかもしれない。
小手先だけのマーケティングで、長期的思考が抜けており、もっと抜本的な施策を行えば、今のマクドナルドは違う姿になっていたのかも。



2. サービストライアングルの崩壊

マクドナルドのようなサービス業は、企業、顧客、従業員の努力によって支えらている。
マクドナルドでの食事に顧客が満足し、従業員が仕事や待遇に喜びを感じ、企業が利益を生み出すことができて、マクドナルドのビジネスが健全に運勢される。どれが欠けても、トライアングルは崩れてしまう。

 戦略転換8年目の危機

このサービストライアングル崩壊の原因は、Q・S・Cの低下が原因で、Q・S・Cの低下を引き起こした要因は以下であると本書は分析しています。

マクドナルドは現場の人間によって支えられているピープルビジネス。
ディスカウント路線と店舗拡大戦略によって、来店客が急増。
こうした戦略によって、店はあまりにも忙しくなり、クルーの表情から笑顔は消える。

原田時代には、売上回復のため、メニューの撤廃、「enjoy60秒サービス」を実施。
これも店舗で働くクルーたちの負担を重くし、結果的に、商品のクオリティ、接客サービスが下がり始める。

新商品も全くヒットしなくなり、売上とQ・S・Cは下落の一途を辿ることになったとのこと。



3. 画期的なイノベーションの不足

日本マクドナルドをV字回復させたように見えた原田氏も、自らが主導して日本初の商品や事業システムのイノベーションに取り組むことができなかった。
思い起こしてほしいのだが、2008年に、筆者らが原田氏に依頼講演のテーマは、「マクドナルドの成長戦略、新ブランド開発や、新商品開発、または差別化戦略等について」であった。
ところが2009年以降、新基軸を打ち出すどころか、日本初の新商品を発売する気配すらなかった。

戦略転換8年目の危機 


非常に的を射てると思います。
原田氏はアメリカのモデルをそのまま日本に輸入し、V字回復を成し遂げましたが、言われてみると、画期的なイノベーションはなかったような気がします。

これはやはり、雇われ社長故のジレンマというやつでしょうか。
藤田氏はオーナー社長のため積極的にリスクをとって挑戦できますが、雇われ社長である原田氏にはそれができなかったのかもしれない。



追記


冒頭でも述べた通り中々いい良書でした。
冷静に淡々とデータに基づいてマクドナルド失敗の本質を分析されています。

特に、イノベーション不足という点はかなり納得できます。
ここ数年経営を抜本的に変えるイノベーションは起きていない。
今やってるアメリカのハワイアンバーガーや、以前やった、アイダホバーガーテキサスバーガー、などなどのアメリカキャンペーン。

こうも同じようなプロモーションが続くと、さすがに消費者も飽きるのではないだろうか。

また、藤田氏がハンバーガーの安売り、すなわちディスカウント戦略は、藤田田自身のビジネスの原則から大きく外れたものです。

著書「ユダヤの商法」にて藤田氏はこんなことを言っています。

薄利多売はバカの商法
同業者同士で薄利多売競争をして、両者がポシャってしまうということはよくある。
少しでも安く売ろうと考える前に、なぜ、少しでも厚利を得ようと考えないのだろうか。

薄利多売を否定していた藤田田
この自らの原則から外れたために、経営危機を招いてしまったのではないだろうか・・・
大尊敬してる方だけに、最後は残念な形となってしまいました。


今後サラ・カサノバのもと、マクドナルドは運営されていきますが、不祥事に対する対応などを見ていると、抜本的なイノベーションは起きる気配はない。
やはりサラ・カサノバも所詮は雇われ社長なのかもしれないです。

やはり経営者交代こそが、一番のイノベーションになるのではないでしょうか。