読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

要件を言おうか

マックで働くフリーターの備忘録

「傷口から人生」人生というものを考えさせられる一冊だった

読書
スポンサーリンク
しんまです。

タイトルと可愛いイラストに惹かれてポチった一冊、「傷口から人生

2015-02-22-00-51-16


本書のあらすじはこうである。

パニック障害により、寸前で会社の面接をばっくれ。
これにより就活を断念する。

何を思ったか、スペインに自分探しの旅にでるという予想してなかったトリッキーな展開。
旅を経て、主人公であり本書の著者でもある小野氏は、自分の弱さと真剣に向き合い成長していく。

その姿がなんとも生々しくドロドロしている。とても表紙の少女のようの可愛いものではなく、まさにメンヘラという言葉がぴったり。

なんといっても本書の魅力は、自分の弱さと汚さをとことんさらけ出していること。
えっ?そこまで喋っちゃうの?それ言って大丈夫?みたいな。
小野氏の闇は相当深く、その闇の一番の原因が母親との関係。


母親を殴る


小野氏は母親に自分を認識されていないことを、小さい頃からずっと気にしています。
それゆえに「もっと母に私を見て欲しい」という感情が強いのです。

色々な形で母にアプローチを試みるのですが、母はほとんど無視。
同じ空間を共有しながら、心の距離はとても遠い。

関係改善のためカウセンリングに行ったりもしますが、特に良いアドバイスも得られない・・・


私はちゃんと、母にぶつかりたいのだ。
まだその余地が十分あると思った。手遅れになる前に、完全に母と私が世界を違えてしまう前に、私はちゃんと、母とコミュニケーションを取りたかった。他のものを代理にしてさびしさを埋めたら、私はきっと将来、自分の逃げを恨むだろう。それだけは、避けたい。

母を殴る〜161ページ 


その日以来、私の中で、何か覚悟のようなものが育っていた。
きっかけはなんだったか、覚えていない。確か母が何千回目かの罵りの言葉を口にしたのだった。
私はそこで冷静に、我慢をして、逃げることも考えた。
でも、なんだかわからないけど、ここで立ち向かわなければいけないと思ったのだった。
今、ここで彼女との関係を解決しなければ、一生解決できない。
そう思った瞬間、私は、いつものように直角に回転しようとした母に馬乗りになり、彼女を殴っていた。

母を殴る〜161ページ 


娘の目を見ない母が、この時初めて娘の目をちゃんと見たのではないでしょうか。
娘の鬼気迫った覚悟と想いが母を変えた。

結果的に母と娘の関係は少しずつ改善の方向に向かっていき、以前よりちゃんとコミュニケーションを取れるようになったそうです。

恐らく小野氏は、ずっと心の中にあった、大きな霧がようやく晴れ始めたのではないだろうか。


人と真剣に向き合うのには、ある一種の覚悟が必要だ。
それが親となると、尚更なのかもしれません。


なんというか、こういったシーンを見せつけられると、子供にとって親は想像以上に大きい存在なのだなと考えてしまいます。


一人の人間が必死に自分のコンプレックスと向き合い、無様な姿をさらし、恥をさらしながら、懸命にもがいていく様は、ズシンと心にくるものがあります。

林修先生の言葉借りるなら、「無様な姿をさらすのが人生」ということなのでしょう。


人生のあり方と、親の存在を考えさせられた一冊でした。