要件を言おうか

マックで働くフリーターの備忘録

今更だけど「猫物語 白」読みました

スポンサーリンク


羽川翼
委員長の中の委員長。
真面目で優等生で優しくて常に正しい。
羽川翼に対する阿良々木君の評価はそんなところ。
しかし自分自身が考える自分と、他人から見た自分の姿は異なることが多い。

彼女は阿良々木くんが考えているほど、正しくもないし、真面目でもなく、優等生でもない。
本作「猫物語 白」は語り部が羽川翼です。
彼女視点で物語が語られるため、今まで詳しく知ることができなかった、羽川翼の内面を余すことなく知ることができます。
そういった意味でも貴重な物語。

色々異色な本作

 

なんでもは知らないけど、阿良々木君のことは知っていた。

羽川翼が一匹の白いトラに遭遇したことにより、物語は新章に突入する。

先程も記したとおり、本作で一番重要なことは語り部が羽川翼であること。
基本的に物語シリーズは、主人公である阿良々木君視点で描かれます。
猫物語 黒ですら、語り部は阿良々木君でした。

しかし今回は羽川翼が軸となり、物語が進行していきます。
そういった意味でも貴重な回。

また物語シリーズといえば、外せないのがギャグパート。
ストーリーが全く進行せず、ギャグパートがページの大半を占めます。
しかし、猫物語白は語り部が羽川翼であるせいか、そういったギャグパートがほとんどありません。
ちょっとばかし毛色が違う。
首尾よく淡々とストーリーが進行していきます。


自分を知ることの勇気

 

羽川翼という私の物語を、しかし私は語ることができない。というのも、私にとって私とは、どこまでが私なのかをまずもって定義できないからだ。
ふと伸ばした足の爪先までが自分であるとはとても思えないと記した文豪がいたはずだが、私だったら足を伸ばすまでもない、心そのものが、自分のものであるかどうかが疑わしい。
私は私なのか?
私とは何なのか?
私とは誰なのか?
誰とは私で。
何が私なのか。




羽川翼は自分を定義できないという。
自分が何者であるかわからないという。
猫物語白は、羽川翼が自分を知るための物語。

僕が思うに、本当の意味で自分を理解出来ている人は圧倒的少数で、多くは他者が求める自分になろうとしている。
自分を語る前に、語る自分自身がない人たちは数知れずだ。

自分を知ろうとするのは、ある意味勇気がいる。
自分の内に秘めた悪意。闇の部分。病みの部分。
知ろうとすればするほど、自分の暗部に目を向けなければいけない。

冒頭で羽川翼の家は全焼します。
帰るべき家がなくなってしまいました。

心配した戦場ヶ原さんが、彼女を自分の家に来るように言いました。
戦場ヶ原ひたぎと羽川翼
奇妙な同居生活が始まる。

戦場ヶ原さんはやっぱり気づいてしまうのです。
彼女、羽川翼の異常性に。




多分あなたは白過ぎる。白無垢すぎる。
馬鹿な奴に対して馬鹿のままでいいって言う非情さが、駄目な奴に対して駄目なままでいいっていう残酷さが、きっとあなたはわかっていない。
まして欠点を美徳だというのも悪意でしかないことを、理解しようともしていない。
マイナスを肯定する取り返しのつかなさがちっともわかっていない。
全てを受け入れちゃ駄目なのよ。
それをしちゃったら誰も努力しようとしなくなる。
向上意欲がなくなってしまう。
それなのにあなたは、馬鹿さや駄目さ対して、なんの警戒心も持っていない。
人からつけ込まれることがわかっていてもなんとも思わず善行に走り、集団の中で浮いてしまうことがわかっていても論理的であろうとする。
そんな恐ろしいことってある?
そんな崖っぷち人生で、よく今まで五体満足でいきてこれたと、その点だけは感心するわ。
結論として、あなたはいい人なんじゃなくって、聖人でも聖母でもなくって闇に鈍いだけだわ。
それじゃあ・・・野生として落第よ。



猫物語白120〜121P 戦場ヶ原ひたぎ


痛烈なセリフを吐き捨てるヶ原さん。
もちろん羽川翼のことを思ってのセリフだけど、アクセル全開ですね。

僕は小説を読む時、登場人物に感情移入してしまい、自分と重ね合わせてしまう傾向があります。
羽川翼にはバリバリ感情移入してしまい、恥ずかしい話だけどラストシーンは涙ぐんでしまいました。

自分が思っている自分と、周りが思っている自分とのズレ。
自分を知ろうとすることの勇気。

さあ、悪夢から目覚める時がやってきたのだ。



【一緒に読みたい】

今更だけど「偽物語 下」読みました

 今更だけど「偽物語 上」読みました

今更だけど「傷物語」読みました

今更だけど「猫物語 黒」読みました

今更だけど「傾物語」読みました