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要件を言おうか

マックで働くフリーターの備忘録

恋愛モノなどアホかと思っていたけど、恋愛小説を読んでみてそう悪くはないと思った「白いしるし」

読書
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兎にも角にも恋愛モノは嫌いです。
人のSEXを見るのならまだしも、人の恋愛を見て何が面白いというのだ。それが僕の考え。
FC2バンザイ(♥ω♥)

少女漫画を読まない理由もまさにそれ。少女漫画はほとんどが恋愛モノであふれている。
よくも飽きないものだと思う。ここまでくると感心する。
メインは別にあって、恋愛がエッセンス程度に散りばめられている程度なら構わないが、恋愛がストーリーのメインを張ると、途端に身体が拒絶反応を示してしまう。
好きだの嫌いだの、切ないだの、とろけるだの、反吐が出そうになる。
とか言ってる僕だけどどういうわけか今、西加奈子さんの「白いしるし」を読んでいる。
本書が恋愛小説だと知っていたらまず読もうと思わなかったけど、そうとは知らず買ってしまったのだからしょうがない。
本書を買った理由は、まあ衝動買いというやつです。
タイトルと表紙を見て、数ページパラパラっと読んでみて、面白そうと思い、秒速で買い物かごに放り込みました。
後から思えば、主人公の女が低スペックでダメ人間の雰囲気を醸し出していたことが、購入の一番の後押しになったのかもしれない。

そんなわけでこれから感想を書いていくわけでありますが、あくまで恋愛モノが嫌いな立場の意見として聞いてください。
バッサリとぶった切ることもあるかと思いますが、あくまで僕の個人的な主観ですので、あまりお気になさらず。


皆何かを抱えているのだ



女32歳。
週5でBARにてアルバイトをしながら、売れない絵を書く画家のたまご。
左肩に彼と同じ刺青を入れたり、彼と同じ青い髪色にしたり、恋愛はとことんハマるタイプらしい。
しかしてんでうまくいかない。
失恋の連続とくる。
ハマるタイプだけに、失恋するとそのダメージも尋常じゃない。
痩せる。引きこもる。何にも身が入らない。

こうして恋愛恐怖体質が形成された。
人を好きになるのが怖いのだ。
ハマってしまいそうで。そして叶わなぬ恋となった時、負うダメージも尋常ないと知っているだけに。

そんな主人公夏目。
読んでいて残念な女だと思った。まあそれが本書を買った理由なのかも知れないのだけど。
夏目は真剣に画家を目指しているかといえば、そういった描写もなく、ただ好きだから描いているといった感じ。

本書を読んでいて何よりすごいと思ったのが、夏目の内なる感情描写。



過去の恋愛を振り返ると、衝動的な行動に出たことばかりだったが、「運命」などという言葉が、こんな簡単に、ひらりと眼前に現れた経験はなかった。
あかん。あかん、と、子鬼が私の脳みそを散々叩いたが、結局野生には勝てなかった。
これは運命だ。

白いしるし47P




先ほどまでの高揚を、恥ずかしく思った。
運命、だなどと、私は、本当に阿呆だ。
「間島昭史」は、私の絵が好きだと言っただけではないか。この年になって、初恋みたいに浮かれて、また肩に刺青でも彫るつもりか。二年間のブランクは、なんと恐ろしい。
使っていなかった細胞を久しぶりに動かすと、思いがけずバグるものなのだ。
私は自戒の念に駆られながら、早足で歩いた。

白いしるし49P



感情が雪崩のようにグワーっと押し寄せてくるのがわかる。
読み手として非常に心を動かされる。
強く感情移入してしまう。
女性の作家さんて、こういう感情の描写うまい人が多い気がする。
竹内ゆゆこさんなんてその最たる例だし。

是非とも夏目の恋は成就してほしいと願ったけど、まあ見ての通り不幸の代名詞みたいな女故、そのようなハッピー展開は待ち受けていない。
不幸気質らしい。

悲しみに打ちひしがれたり、彼を想う気持ちで心がうめつくされたり、恋愛中特有の傍から見たらアホかと思う突飛な行動をしてみたりと、読んでいてうざいと感じるシーンは多々あったけど、思いの外読める。
もっと身体が拒絶反応を示すかと思いきや、以外にもすんなり読めた。
食わず嫌いはよくないのだと痛感。
何事もモノは試しである。

しかし読んで思ったけど、やはりどんな人間にも闇があるのだと感じました。
ネタバレになるから詳細は伏せるけど、あーお前それヤバイやつじゃん、みたいな闇がわんさと登場してくる。
登場人物の中で、まともな常人かと思った瀬田も、ラストでは恐ろしい闇の一面を見せる。
恐ろしいというか、おかしいというか。

僕もかなり闇が深いほうだし、またその闇をあけっぴろげに人に話せるほど強くはないけど、このように皆なんかしらの闇を抱えているという事実は、自分の背負ってる荷を少しばかり軽くしました。
皆何かを背負っているのだ。

恋愛モノ嫌いだけど、これからは喰わず嫌いせずに、偏見を持たずに、読書をしていこうと思う。
とりわけ「白いしるし」は僕の読書体験の中で異色だった。