変わらないものなどないというなら、運命にも変わってもらうとしよう
「傾物語 」読みました。
「傾物語」はアニメで放映された物語シリーズの中で一番好きな話です。
まよいキョンシー。八九寺真宵がメインの話なのですが、真宵自体は作中に全く登場せず、ほとんど忍メインです。
そう。忍メイン。
つまり僕にとってのボーナスステージのようなもの。
バリバリネタバレになりますので、これから読もうとしてる方はご注意ください。
600年という孤独
11年前にタイムスリップして、真宵を母に会わせるために運命を変えようとする阿良々木くん。
しかしそれはやってはいけない過ちだった。
過ちの代償はあまりにも大きく、現代に帰ったらなんと地球が滅亡していた。
阿良々木くんと忍がただ二人世界に取り残される。
ストーリーはこんな感じなのですが、冷静に考えるとぶっ飛んでいるストーリーです。
怪異の王ともなればタイムスリップなど造作も無いということなのかもしれないけど、普通にすごすぎるわ!
さらには地球が滅亡するという急展開。あれ、物語シリーズってSFモノだっけ?
突っ込みどころ満載のぶっ飛びストーリーですが、なんだかんだマジで面白かったです。
特に阿良々木くんと忍の関係性は必見といえましょう。
僕は戦場ヶ原のことが一番好きで、羽川のことを誰よりも尊敬してる。八九寺と喋るのは何より楽しい。だけど、一緒に死ぬ相手を選べと言われたらお前を選ぶ。
忍が死ぬのなら、僕の命は明日まででいい。
かっこ良すぎる物語シリーズ屈指の名台詞。
儂も死ぬときはお前様と一緒だと思うとる。
この二人は切っても切れない宿命故に、誰よりも絆が強く、誰よりも信頼しあって、誰よりも愛し合ってることが本作ではうかがい知れます。
僕が物語シリーズで一番忍を好きな理由って、それは誰よりも忍が孤独だからです。
600年という長い年月を生きてきた忍の孤独は、我々人間の想像をはるかに超えることでしょう。
吸血鬼の死因の9割は自殺だというのもうなずける。そんな孤独に耐えられるのはわずか一割の猛者だけですから。
ラストシーンでキスショットが阿良々木くんに、「頭をなでてくれないか?」とお願いしたシーンは、まさに吸血鬼の孤独を如実に表したシーンといえます。
世界を滅ぼしたキスショットは、不死身の身体で何度も自殺を図ります。耐えられない孤独から逃げるために。
怪異の王。鉄血にして熱血にして冷血な吸血鬼。その気になれば地球を滅ぼすことなど容易いほどの力を持ち合わせてている。
しかし、しかし、強すぎるからこそその孤独もまた計り知れないほどのスケールで大きい。
孤独は人を殺すというけど、それは吸血鬼とて例外ではなかったようです。
忍は、阿良々木くんというお人好しすぎる人と出会ったこと、出会えたことは、おそらく最高に幸運なことだと思います。
阿良々木暦と忍野忍。
特殊な関係。特別な関係。
もう自殺を試みるようなことはしないでくれよ忍!
おそらく傾物語を読んだ人の感想としては珍しい感想かもしれませんが、僕は本作を読んで「孤独」というテーマに対して深く考えさせられました。
今の自分が孤独だからこそ、孤独というワードに敏感なのかもしれませんけど、少なくとも600年間孤独だったキスショットの気持ちは、僕なんかの想像をはるかに超えるもので到底理解できるものではないでしょう。
いくら辛かろうと不死身故に死ねないジレンマ。様々な自殺方法を図らなければいけない苦悩。
なんだか、火の鳥の生き血を飲んで不老不死になった人たちの方々を思い出すなあ・・・
きっとだけど、死ねないって死ぬほど苦しいんだろうな。
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