要件を言おうか

カネとかジンセイとかいろいろ

さいとうたかを先生、長い間お疲れ様でした

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ゴルゴ13の作者で知られる漫画家さいとうたかを先生が、今月24日に84歳の人生に幕を下ろした。

 
筆者の名前「しんま13」もゴルゴの13の数字を拝借したものだし、ブログ名「要件を言おうか」も、ゴルゴの「用件を聞こうか」をもじったものだ。

それくらいゴルゴ13とさいとうたかを先生が好きなので、突然の訃報には驚きを隠せない。(突然じゃない訃報などないけど)

というわけで今回はさいとうたかを先生の労をねぎらうのと同時に、如何にさいとうたかを先生がすごかったかを書いていく。

目次

 

ゴルゴ13が長寿作品になった2つの理由

 

ゴルゴ13の連載が始まったのが1968年11月なので、もうすでに53年も続いていることになる。
その巻数は圧巻の202巻。

一体なぜゴルゴ13はここまでの長寿連載になったのか。
その理由は2つあると筆者は考える。

一つは「その時代の価値観、常識では描かない」という氏の一貫した考え方だ。

例えば日本経済が上向きだったときは、頑張って働き、車と家を買って一人前になる、という価値観があった。
しかし経済が下向きの現在において、そうした価値観は幻想へと消え、家は賃貸、車は所有しない人が増え始めた。
頑張って働くどころか、セミリタイアして労働から解放されたいという価値観を持つ若者が増えた。

もしゴルゴ13が、令和のこの時代に昭和の価値観で描いていたら、ここまで長続きしなかっただろう。
さいとう先生の一貫した考えが50年以上も読者を離さずに作品が続いている理由だと思う。

作品が長く続いたもう一つの理由は「徹底した分業体制」。

普通の漫画家は、背景やスクリーントーン貼りなどはアシスタントにアウトソースして、それ以外の作業は作者本人が行う。

しかしさいとう先生はそれだけではなく、資料集めや、シナリオ担当スタッフ、脇役担当、背景担当、そして銃器担当スタッフまで用意して、まるで映画を作るかの如く、完全に分業体制で作品を作り上げている。
さいとう先生は監督のような立ち位置で陣頭指揮を取る。

作品を読めばわかるが、ゴルゴ13のエピソードはとにかく濃い上に幅広い。
世界各国の政治、軍事、経済、裏社会と、毎週話舞台とテーマが変わる。

とてもじゃないが、1人の人間だけで描いていたらあそこまで幅広く、そして濃くは描けないだろう。

そのスタイルは同業者や評論家から不評を買ったが、「良い作品を作る」という観点で見たときに、1人で作り上げるよりも、プロフェッショナルが各持ち場で能力を発揮して一つの作品を皆で作り上げていった方が、良い作品になるんじゃないかと筆者は素人ながらに思う。

 

金儲けもうまかったさいとうたかを

 

さいとう先生は金儲けも抜群にうまかった。

商売の王道は自分で作って自分で売ることだが、さいとう先生はまさにそれを漫画でやった。

通常の漫画家は、自分の漫画を週刊誌なり月刊誌なりで連載し、漫画を連載している会社の出版社でコミックを出版する。

つまり漫画家は、雑誌の原稿料とコミックが出版された際に発生する印税で儲けを出す。

しかしさいとう先生は何と、コミックを出版する出版社を自分で作ってしまった。それがリイド社だ。

これにより余計な中間コストが発生せず、作品が生み出す巨額の利益のほぼ全てを手にすることができる。

詳しい収益構造は知らないし、リイド社の成り立ちも知らないが、少なくとも作品に関する、グッズ、映像、など数々の著作料は全てリイド社に帰属するのだろう。

だから普通の漫画家よりも稼げる額が一桁も二桁も違う。

現役で最も稼いでいる漫画家としてワンピースの尾田先生がその筆頭に挙げられるが、収益構造を考えれば実はさいとう先生が一番稼いでいたのかもしれない。

 

ゴルゴ13から学んだこと

 

ゴルゴには男のロマンが詰まっている。
強い上に知的で、その腕一本で世界から必要とされ、おまけに女にやたらモテる。

ゴルゴ読者はそんなゴルゴに憧れ、そして彼のようなりたいと強く願う。

そんなゴルゴから筆者が学んだことは、「事実から物事を判断する」というスタンスと、臆病者に徹するというその考えだ。

ゴルゴはどんな状況下におかれても常に冷静で、感情に左右されず、目の前にある事実から物事を判断し、最適解を導き出す。

ゴルゴはオリンピック選手にも負けない圧倒的な身体能力と、精巧な射撃の腕を持っているが、それでもゴルゴの能力を上回る敵はたくさんいた。
にもかかわらず、なぜゴルゴが毎回その敵に勝ち、生き残ってきたのかといえば、事実から冷静に物事を洞察するスタンスと、決して傲慢になることなく臆病者に徹して、危機を回避できるからだ。

進化論的に語るのなら、どんな相手にも勇猛果敢立ち向かう個体と、相手の強さに応じて闘争か逃走を選択する個体がいたら、おそらく後者の個体の方が生き残る率は上がるはずだ。
勇敢だからといって、それが必ずしも生存にプラスの働きをするとは限らない。

ゴルゴは自身を臆病者と評し、無理な勝負は決してせず、逃げるときは逃げる。
だからこうして今も生き残っているのだろう。

このゴルゴのスタンスは筆者のビジネスの考えにも応用され、大変有意に使わせてもらってる。

もちろんどう頑張ろうとも彼のようにはなれないけれど。

 

今までお疲れ様でした

 

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ゴルゴは冊数が多いので筆者は全て電子化している


ゴルゴ読者はあるジレンマに悩まされる。

それは、「ゴルゴ13の最終回を見たいけど、作品が終わって欲しくはない」というものだ。

しかし、作者の永眠により、作品に終わりが近づいている。
さいとうプロダクションの発表によれば、残されたスタッフたちで作品は継続するそうだが、やはりどこかで区切りは付けられるのだと思う。

最終回は見たいが作品は続いて欲しい。そんなわがままを言える時間はもうたいして残されていないのかもしれない。

さいとう先生、長い間お疲れ様でした。
天国で安らかにお眠りください。
今後もゴルゴ作品は買い続け、グッズも買い、当ブログでも定期的にゴルゴの記事を書き布教活動を行い、生涯あなたとゴルゴのファンで居続けます。
本当に長い間ありがとうございました。

しんま13