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カネとかジンセイとかいろいろ

【2022年6月】今月読んだ7冊

※本記事には広告が含まれています。
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今月も今月とて読んだ本の感想を書いていく。
なお、虚構推理にどハマりしたので今月読んだ小説はほとんど虚構推理の模様。

目次

 

1. 闇の脳科学

 


今年読んだノンフィクションの中でダントツに一番面白かった。
不穏なタイトルはイカれたマッドサイエンティストの登場を予感させるが、本書の内容はロバートヒースという精神科医の功績を再検証したものだ。

今の医学会でヒースの名を知るものはほとんどいないが、彼が医学会に残した功績は凄まじい。
DBS(脳深部刺激療法)は、脳に電極を差し込み、継続的に刺激を与えることで病状の改善を図るという治療法で、主にパーキンソン病の治療に用いられている。そして、この治療法を開発した人こそがヒースである。

だが、当時の医学会はこの治療法をロボトミーの再来だといい、非人道的な治療という評価をくだした。その結果ヒースの功績は認められず、今現在ではDBSを開発したのはヒースではなく別の人間ということになっている。

時代の先を行き過ぎて理解されなかった天才ロバートヒース。
そんな時代に埋もれたヒースの功績を、確かな医療の知識と、丹念な取材で再検証する著者ローン・フランクのジャーナリズム魂は鬼気迫るものがある。

本当はこの本の感想だけで一本記事を書きたかったが、中々綺麗にまとめられず断念した。

 

2. 非会社員の知られざる稼ぎ方

 


東洋経済オンラインの名物連載。元々連載を読んでいたので書店で書籍を見つけて即購入。

タイトル通り非会社員を取材し、彼らがなぜ今の仕事をしているのか、どのようにして稼いでいるのか、などを掘り下げていく内容となっている。

稼ぎ方の部分はあまり参考にならないが、一風変わった人生を送っている方々が登場するので普通に読み物として面白い。

 

3. Amazonの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した 最低賃金労働の現場

 


著者のジェームズ・ブラッドワースがアマゾン、ウーバー、訪問介護、コールセンターに潜入し、その実態を暴き出す痛快な潜入ジャーナリズム本。

よく筆者の家のポストにアマゾンバイト募集のチラシが投函されているが、この本を読んだら絶対に働きたくなくなる。
読んでる限り、アマゾンは労働者たちを囚人だと勘違いしている節があり、労働者の人権はほぼ無視され馬車馬の如く酷使される。

ウーバーの項のメイントピックは、ウーバーがドライバーを労働者ではなく自営業者として扱ってることに対する問題提起だった。
ここに関してはわりと有名な話だし、特に新たな学びは得られなかった。

 

4. 競争の番人

 


新川先生の新作なのでノールックで購入。
公正取引委員会という地味なお役所が主題の小説。

体育会系女子の公取委「白熊楓」と、天才だが人間性にやや難ありの公取委「小勝負勉」がタッグを組み、ウェディング業界に蔓延る巨悪に立ち向かっていく王道職業モノエンタメ小説。

職業モノエンタメは好きだし、公取委というマニアックな世界の一端を覗けたのは楽しくもあったが、小勝負のキャラがあまり好きにはなれず、さらには本作の悪役の理念の掘り下げが甘く、今一つ納得感にかける読後感ではあった。
とはいえ、次回作が出たら買うとは思う。

 

5. 虚構推理短編集 岩永琴子の出現

 


虚構推理第2弾、今回は短編集。
以下の全5話が収録されている。

1話 ヌシの大蛇は聞いていた
2話 うなぎ屋の幸運日
3話 電撃のピノッキオ、あるいは星に願いを
4話 ギロチン三四郎
5話 幻の自販機


短編集なので気軽にサクッと読める。
個人的には電撃のピノッキオ回が面白かった。

 

6. 虚構推理 スリーピングマーダー

 

虚構推理第三弾。

琴子は九郎一筋であり、彼氏の前では変態的、いや、可愛らしい女の子だというのに、高校生の頃の琴子は、誰ともつるまず冷淡でその考えが読めず、一言でいえば近寄りがたい雰囲気を醸し出していたことが本作の高校生編で明かされる。

片目片足を失い化物たちの知恵の神となった琴子、きっと本人にしかわからない苦悩があるのだろうが、全作を通してそこらへんの苦悩は一切語られない。
というか、むしろ神になれたことを喜んでいる節もありその真意は図りかねる。

そんなよもやま話もありつつ、本作のメインテーマは「スリーピングマーダー編」。
資産家のじっちゃまが、妖狐と取引して妻を殺してもらったことを、合理的な虚構を作り上げて、じっちゃま本人が殺ろしたことにするという、やや込み入ったストーリー。

じっちゃまは自分が殺人犯であることを、孫たちに認めさせようとするが、如何せんあやかしの力を借りて行なった殺人ゆえ、あやかしの存在を伏せて殺人を立証するのはそう簡単ではない。

そして物語は誰も想像していなかった意外な結末が待ち受けている。

はい、読みごたえたっぷりでございました。

 

7. 虚構推理短編集 岩永琴子の純真

 


虚構推理の漫画版でわりと話題になっている雪女編が収録されている短編集。
結論からいえばこの雪女編めちゃくちゃよかった。

友に裏切られ、会社の仲間にも裏切られ、あげく妻に殺されかけるという散々な目にあった室井昌幸はすっかり人間不信に陥った。
そんな彼の前に現れたのが雪女だった。

昌幸は雪女に魅せられていき逢瀬を重ねる。だが、その2人の仲をある一つの殺人事件が引き裂く。
ロマンとミステリーが入り混じるこのエピソードは、何度も読み返したくなる傑作であった。

 

おわりに

 

7月は本腰を入れてFP2級の勉強をしなければいけないのであまり本を読めないかも。
あと、シンプルに7月は忙しい。。。