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カネとかジンセイとかいろいろ

【2022年4月】今月読んだ11冊

※本記事には広告が含まれています。
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4月は職場が2つになり、業務委託で新しい仕事を始めたり、100億年ぶりにWordPressでブログを立ち上げたりしていたくせに、なんだかんだ暇で本ばかり読んでいた。というか、本しか読んでなかった。(読書以外の記憶がほぼない)

そんなわけで、今月の冊数が10冊超えたわけである。

目次

 

1. スモールビジネスの教科書

 


タイトル通りの本である。
教科書と銘打ってるだけあって、綺麗な章立て、無理のない論理展開、本質を突いたノウハウ、とハイクオリティで仕上がっている。

個人的に面白いと思ったのが、ビジネスの敵とされる「属人性」をあえて活かせという話と、称賛されないビジネスをやれという話だ。

属人性が嫌われるのは、属人性があると再現性に欠けてしまいスケールできないからだ。だから多くの企業は属人性を排し、再現性を高め、スケールさせようとする。

しかし、逆に考れば、スモールビジネスで当てようとする個人は、はなから大きくスケールさせる気がないし、余計なライバルの参入も防ぐことができる点を考慮すれば、属人性があるビジネスをやるのは選択肢としてアリなのだ。

「称賛されないビジネス」をやれという話は、筆者が常日頃から思っていたことなのでめちゃくちゃ共感した。
本書では、人から称賛されるような良いビジネスは、市場機会に対し過剰な参入を招くので、血みどろのレッドオーシャンになると指摘している。

将来、「情熱大陸」にでも出たいなら話は別だが、儲けることが最大の目的なら、「誰かに褒められたい」という感情は捨て、経済合理的な事業選びをするべきだろう。

 

2. お金持ちになれる黄金の羽の拾い方2015 知的人生設計のすすめ

 


橘玲氏の作品の中でもとびきり有名なやつ。

読みたくて読んだというよりは、以下の記事を執筆するために資料用として目を通した感じ。

 


普段から橘氏の本を読んでる人からすれば、主張が重なってるポイントが多いので読む必要はないかも。

内容としては、資産形成=(収入-支出)+(資産×運用利回り)という金持ちの方程式を紹介し、制度の歪みを徹底的に利用し、支出を減らす方法と運用利回りを高める方法を解説している。


ゲームに勝つにはゲームのルールを知ることが先決だが、本書は資本主義社会のルールを表から裏側まで余すことなく解説しているので、凄まじき良書だと思う。

 

3. ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金率

 

 

タイトルだけみるとよくある自己系活本にみえるが、著者の名前に注目すると、この本の正体がつかめてくる。

そう、この本の著者は人の悪口を書いて生計を立てているあの堀元氏だ。
前作が「教養(インテリ)悪口本」なのに、今作で他者を啓発するような本を書くわけがない。

中身は、100冊のビジネス本を読んで、各本に書かれている矛盾点をあげつらい、徹底的にバカにするという、訴訟リスク山盛りの内容となっている。

ビジネス書はやたらAIに仕事奪われる話出てきがち、というくだりは腹抱えるほど笑った。
性格がひん曲がってる人におすすめの本。

 

4. 犯罪捜査の心理学 凶悪犯の心理と行動に迫るプロファイリングの最先端

 


犯罪捜査の知見を確かな研究の元に紹介している、極めてアカデミックな本。
主にプロファリングの歴史とその手法の紹介がメインだが、犯罪者の分類やその傾向を探る章もあり、犯罪系の話に興味がある人は誰でも楽しめる内容となってる。

面白いと思ったのが連続殺人犯の項で、男女によって殺人動機が異なるという点。
男は性的欲求を満たすために連続殺人を犯すケースが多いという。デッド・バンディや、ジョン・ウェイン・ゲイシーなどその典型例だ。
だが、女が連続殺人を行う場合、性的動機に起因することはほとんどなく、どちらかというと金銭的動機に基づいて犯行を行う場合が多い。

こうした男女差は興味深い。
また、犯罪者の多くは男で、殺人犯も男だ。なぜ男は犯罪者になりやすいのだろうか。

この点については本書では何の解説もなかったが、筆者は、「科学でわかる男と女の心と脳 男はなぜ若い子が好きか?女はなぜ金持ちが好きか?」に書かれていたある主張を思い出した。

その主張とは、男は殺すことで栄誉と地位を獲得してきたという、進化論的な事実の話だった。
戦で敵の大将のクビを取れば、それこそ表彰モノであり、そのような手柄を立てた者は最高の栄誉と地位を獲得できただろう。
栄誉と地位を獲得できれば、当然金も手に入る。

女はより優秀な男、より資源(金)を持った男に惚れるように脳がプログラムされている。
なぜなら、無能な男の遺伝子を受け入れては、子孫の生存率が下がるからだ。

女は無能な人畜無害男より、有能な殺人者を選ぶ。

なので、殺すことで栄誉と地位を勝ち取った男は、女にも選ばれるようになる。

男にとって殺すことは信じられないくらいメリットがある行為なのだ。

そうした陰惨な歴史が、多くの殺人者が男である理由なのかもしれない、と本書では結論づけられている。こわ。

 

5. 睡眠の科学 改正新版

 


悲しく虚しく積み本になっていたので、ようやく消化した。

「生物はなぜ眠るのか」という単純な問いに、今の科学は明確な回答ができない。それだけ睡眠の世界は謎で満ち溢れている。

非常に痛快だったのは、人によって睡眠習慣は違うが、それは遺伝子のせいだよ、という主張だ。

睡眠相後退症候群という睡眠障害は、Per3という時計遺伝子が変異しており、そのせいで睡眠時間および覚醒時間が、通常の人より遅くなってしまうことが確認されている。

逆に、家族性睡眠相前進症候群では、Per2という遺伝子に変異があるせいで、体内時計のリズムが短縮化されてしまう。結果、早く眠り、早く起きる身体になってしまうのだ。

睡眠のリズムは、微妙な遺伝子の違いで大きく変わる。

このように、人の個体差や個性は、様々な遺伝子にある微妙な差の蓄積であると考えられているらしい。

したがって、ビジネス書にやたらと多い、「成功者は皆朝型生活だから、あなたも、朝型になろう」という朝活礼賛の教えはかなり無理がある。
夜型の遺伝子を持っている人に朝型生活を進めようとも、遺伝子が変異でもしない限り、おそらく睡眠習慣は変わらない。
筆者も夜型生活を変えたいと思うが、多分一生変わらないと思う。

 

6. 性の進化史 いまヒトの性染色体で何が起きているのか

 


最初から最後まで一貫して性染色体のお話。

近年男の精子量が減少しているという事実から、いずれ男はこの地球上から消えてしまうかもしれないという、残酷な未来を予見したところから本書は始まる。

ご存知、XXの染色体で女になり、Yが一個あると男になる。(つまりXYで男になる)
しかし、そのY染色体が劣化しているという。
これは一体なぜか。
その理由は非常にシンプルで、Y染色体はスペアがないからだ。

X染色体は2つある。何らかの要因でX染色体が傷ついたとしても、もう一方の正常なX染色体がそのリカバリーをする。
だが、Y染色体は相方がいない1人ぼっちの遺伝子だ。
すると、Y染色体が傷ついてもスペアがないから、その傷ついた遺伝子が精子を介して次の世代に伝えられてしまう。これを何万回何億回と繰り返すと、Y染色体は退化の道を歩んでいくしかなくなる。

こうなると、精子が減少し、Y染色体も弱りに弱り、もはや男は生殖補助医療に頼らないと子孫を残せなくなるという、グロテスクな未来につながっていくという。

 

7.8.9 お迎えに上がりました。国土交通省国土政策局幽冥推進課

 


3冊一気に読んだ。

ポップな作風のくせに、日本の社会問題や、消えゆく文化とその文化と共に生きてきた人たちの姿が描かれたりと、結構ハードなテーマを扱ってる感。

ネタバレになるので詳しく書けないが、3巻の「火車先輩のためのお葬式」は、消えゆく日本文化に対して、夕霞が一つの答えを出した名エピソードだった。

ちなみに、本作は漫画化もされているので、そっちも読みたい。
なんか漫画だとやたら火車がもふもふになっててかわいい。

 

10. 紙鑑定士の事件ファイル

 


紙鑑定士という奇妙な職業に就いている主人公が、紙にまつわる難事件を解決していくというミステリー作品。
一つ失敗したのが、これは初作ではなく、2作目だったということ。
読む順番間違えたわ。

感想はというと、正直結構話が地味で、筆者の好みではなかった。

 

11. 剣持麗子のワンナイト推理

 


新川先生の3作目。ノールックで購入。

どぎつい女主人公剣持麗子が、今作でもその辣腕を振るうわけだが、いかんせん短編集という本の構成上、ややミステリー要素が浅いかなと思ってしまった。
けど、それは前作が凄すぎたからそう思うだけであって、普通にミステリーの短編集モノと考えれば面白い。
しかも、随所に伏線が散りばめられており、最後にしっかりその伏線が回収されるので、読み終えた後のスッキリ感がある。

なお、筆者は新川先生の3作品の中では、「倒産続きの彼女」の彼女が一番面白かった。

 

おわりに

 

白状すると、「睡眠の科学」と「性の進化史」は読むのに苦労した。
事前知識がほぼ何もなかったからだ。
特に性の進化史は四苦八苦しながら読んだ記憶。

まともな修学児じゃなかったツケがこういう時に回ってくる。

はやいとこアホを卒業したいものである。