親ガチャというワードが世間を賑わせている。
親からしてみれば手塩をかけて育てた我が子から、「親ガチャハズレたわ」などど言われればこれまでの努力を一切合切否定されたことになるので、親ガチャというワードに不快感を募らせるのは当然でしょう。
でも、いろんな事実をかき集めていくと、「親ガチャ」というワードが流行るのもある意味仕方なしなのかも。
今回はそんな親ガチャにまつわる身も蓋もない話。
目次
ハゲは遺伝で決定するという惨すぎる事実
男性陣にとって無視できない事実が「ハゲは遺伝する」ということです。
「親ガチャの話でお前何言ってんだよ」と思われるかもですが、これ、すっごく大事な話。
ハゲないためには、ストレスを軽減したり、食生活を正したり、積極的に運動するなどして、生活習慣を整える必要があると言われますが、ハゲの遺伝子を持っていたら、結局何をしたとことでハゲる時はハゲます。
具体的には、母方の祖父がハゲてる場合で75%の確率で遺伝し、母方の祖父と曽祖父ともにハゲてたとなれば約90%の確率で遺伝。
参考: 薄毛(ハゲ)は遺伝します|薄毛が遺伝する理由やAGAを発症しやすい人の特徴を解説 | AGAメディカルケアクリニック|オフィシャル
むごいったらありゃしない。
元自民党議員の豊田真由子氏は「このハゲー!!ちーがーうーだーろー!!」とハゲを蹂躙するかのような暴言を吐き散らかしていたけど、ハゲは遺伝で決定するならば、この発言もっと叩かれてもいいと思う。だってハゲは本人のせいじゃないのだから。
豊田氏が本当に自身の発言を反省してるなら、どこぞのアイドルグループみたいに丸刈りにして泣きながら謝罪でもして、毛根の重みを知るべきなのである。
なに物知り顔でテレビでコメンテーターやってんだよ。チーガーウーダーロオォ!!
と本人に言ってやりたい。
ハゲを家系に持つ筆者の憤慨はともかく、要するに筆者が言いたいのは、ハゲに限らず、子の性質は親の遺伝子をかなりの部分引き継ぐということです。
ハゲはあくまで一例にすぎません。
多くの要素が親の遺伝子の影響を受けるのです。
知能も遺伝で決定する
努力信仰が強い日本ではあまり受け入れられてないのは「知能は遺伝する」という事実です。
橘玲氏の著作「無理ゲー社会」では、知能に関係する「やる気」「集中力」「記憶」「計算」「認知」の遺伝率を以下のように示しています。
項目 | 遺伝率 | 共有環境 | 非共有環境 |
やる気 | 57% | 0% | 43% |
集中力 | 44% | 2% | 55% |
記憶 | 45% | 3% | 52% |
計算 | 56% | 13% | 32% |
認知 | 55% | 18% | 27% |
(データの大元は政治学者チャールズマレーの著作「Human Diversity」。筆者は英文読めないので、無理ゲー社会のデータをそのまま引用しています)
共有環境は一般には家庭環境のことを示し、非共有環境は家庭以外の環境のことをいいます。(学校・友達関係など)
このデータによれば、知能に関係する項目はほぼ半分が遺伝で決定し、家庭でできることはほぼ何もなし。
親ができるのは、せいぜいあまり不良がいない学校に我が子を入れ、悪い友達から変な価値観の影響を受けないようにすることくらいでしょうか。
子は、低い知能の遺伝子を引き継いでしまった場合、本人の努力でそれをどうにかリカバリーするのは極めて難しい。
なぜなら、努力できるかどうかの大部分が遺伝なのだから。
ちなみに、知能以外で遺伝率の高い項目をみてみると、「多動障害」と「双極性障害」が68%、「広範囲の発達障害」が70%で遺伝するようです。
この結果は、そうした障害を持ってる人からすればかなりきつい・・・。
橘玲氏の「言ってはいけない」では、これ以上に残酷な遺伝子決定論の事実が述べられているので、気になる方は一読あれ。
最貧困女子たちが示すもの
ルポライターの鈴木大介氏が上梓した「最貧困女子」。
本書では、筆舌に尽くし難い過酷な環境で生きてきた貧困女子の実態が明らかにされています。
本書に登場する清原加奈(仮名)さんは、6歳と8歳の子を持つシングルマザーで、日々の生活費を売春で稼ぐ女性。
売春しているなら、それに見合った容姿をしているのかと思えば、服のボタンが弾けそうなまでの脂肪、厚塗りファンデに濃すぎるチークと、正直全然可愛くない。(本書では写真が載っているわけではないので、文章から読み取ったイメージではあるけど)
彼女は売春を始める前は、生活費を稼ぐために風俗店の面接に行くものの、「整形とダイエットしてから出直せ」と冷たくあしらわれる。
こよのうに、清原さんは正規の性産業から受け入れられなかったからこそ、非正規の売春にその身を投じることになったのです。
清原さんがなぜこのような状況に陥ったのか。
彼女の過去を探ってみれば、それは虐待との戦いでした。
身体中のあちこちには母親から受けた根性焼きの跡があり、父親からは暴力をふるわれ、床下の野菜室に監禁されたこともあるといいます。
ご飯はいつもカップ麺か菓子パン。
買い置きされていたポテトチップスばかり食べていたので小学生時代の体重は50㎏オーバー。
その外見がいじめの対象となり、家庭にも学校にも安らげる場所はなかったそうです。
そうした悲惨な幼少期を過ごし、18歳で住み込みのクリーニング工場に就職。
21歳で結婚し2人の子供をもうけるものの、旦那はろくに子育てもしないどころか子供を虐待し、清原さんにも暴力をふるい、我慢できず25歳で離婚。
夫が出ていき、清原さんと4歳と2歳の子供だけが家に残されました。
出産した時点で仕事は辞めていたので収入は0。
別れた旦那が養育費を払ってくれるわけもなく、明日の家賃すら払えない状況。
まともな教育を与えられなかったせいで、公的な支援にアクセスすることもできず、手っ取り早く稼げる売春に手を染めた、ということです。
本書ではこうした最貧困女子がたくさん登場します。
そんな彼女たちに共通しているのは、恵まれない容姿と知能の低さです。(ひどいこと書いてると思うけど他に表現がないので。すいません・・・)
登場する最貧困女子たちの親は、お世辞にも高い知能を有しているとは言えず、その低い知能が子に受け継がれているため、子は人生がうまくいかず貧困に陥ってしまう。
そんな構図が確認できます。
これこそ親ガチャにハズレた子の宿命なのかと、陰惨たる気持ちになりました。
我々が生きる現代は知識社会
我々が生きる現代は知識社会。
知能が高ければ社会の恩恵を最大限享受できるものの、知能が低ければ社会のシステムからこぼれ落ちてしまい、幸福な人生は遠ざかる。
橘玲氏はこうした社会を「無理ゲー社会」と評し、「才能ある者にとってはユートピア、それ以外にとってはディストピア」と書き記しました。
この表現は今の現代を実に的確に言い表しています。
「学歴は関係ない!」と主張する人は、学歴が高ければ高いほど収入も高くなるという事実を知らないし、「圧倒的努力をすればなんでもできる!」と主張する人は、努力できるかどうかは遺伝と環境で決まるという事実を知らない。
耳障りの良い綺麗事に嫌気がさした人々が、親ガチャというワードに共感を覚えるのは、至極当然なのかもしれません。
親ガチャという言葉に嫌悪感を募らせる親がいようとも、この社会を生き抜く上で必要な知能の半分は遺伝で決まり、努力できるかどうかも半分は遺伝で決まる以上、親ガチャというワードを完全否定するのはやはり難しい。
予見される残酷な未来
筆者が大好きな漫画ゴルゴ13。
ゴルゴ13、104巻「バイオニックソルジャー」では、優秀な母体と優秀な男の精子を人工授精させて、最強のデザイナーベビー「ライリー」を誕生させるという軍事プロジェクトのエピソードがあります。
優秀な遺伝子を有したライリーは、科学的なトレーニングと、最先端の薬理学で鍛え抜かれ最強の軍人に育成されます。
そしてライリーはゴルゴを暗殺する任務を請け負い、ゴルゴと対峙。
反射神経、狙撃術、スピード、全ての身体能力でゴルゴを上回るライリーは、ゴルゴを圧倒していきます。
人工的に鍛え抜かれたマシーンと、天才的なテロリストの対決。この対立構図がシンプルで面白い。
ゴルゴファンの間でもこのエピソードはかなり人気が高いです。
無論、これはあくまでフィクション。デザイナーベビーなど現実に許されるはずがない。
しかし、遺伝子決定論が進んでいけば、こうしたデザイナーベビー計画が現実のものとなる可能性は十分にありえます。
2015年に、中国で遺伝子を操作されて誕生したデザイナーベイビーが物議を醸しました。
参考: ヒト受精卵に世界初の遺伝子操作-中国チーム、国際的な物議 - WSJ
この研究は倫理的な観点から激しく非難されましたが、パーフェクトな子供を作りたいという潜在的欲求がある限り、非難を浴びようがこの手の研究は進んでいくのだと思います。
有史以来、科学の進歩が途絶えたことはないし、全ての人間が倫理観を持っていたのであれば核兵器はこの世界に誕生しなかったことを考えると、やはりディストピアな世界は避けられない。
富を持つものだけがこうしたデザイナーベビーを作れる社会になった時、持つ者と持たざる者の分断はさらに加速する。
持たざる者である筆者にとっては直視し難い現実です。
おわりに
筆者は金もなければ女もおらず、今現在、人生史上最大のピンチを迎えています。
参考: 幸せになりたい( ;∀;)30歳で人生プランの変更を検討します - 要件を言おうか
しかし、もしかしたらこうした現状は全て親のせいなのかもしれない。
FXで負けて60万円を失ったのも親のせい。
宝くじ3万円購入して払い戻しが0円なのも親のせい。
ビジネスが失敗続きなのも親のせい。
女にモテないのもやっぱり親のせい。
石原さとみがGS社員と結婚するのも、新垣結衣が逃げ恥婚かましてくれるのも全て親のせい。
あれこれも全部親のせい!!
と、なんでもかんでも親のせいし、楽に生きてやろうと思ったけど、それで筆者の人生が前に進むことはありません。
結局、スヌーピーが言うように配られたカードで勝負するしかないのでしょうね。
それは筆者に限らず誰だって。