膨大な知識量と圧倒的な実行力の高さから、コンピューター付きブルドーザーの異名を持つ第64・65代 内閣総理大臣「田中角栄」。
独特な喋り方で多くの民衆を魅了し、今でも数多くの角栄本が出版されていることからその人気の高さが伺えます。
そんな田中角栄ですが、実は「吃音症」を患ってました。
吃音症は言葉がうまくしゃべれずどもってしまうという厄介な症状。
吃音症は国内だけで120万人以上存在し、割合としては100人に1人が患っている計算。
それだけ一般的な病にもかかわらず、解明されていないことが多く、吃音症を完全に治す方法も判明していません。
田中角栄は自らの吃音で小学生時代悔しい思いをし、浪花節を練習してなんとか吃音を克服したそうです。
田中角栄独特の喋り方も、どもらないための懸命の努力の結果なんじゃないかと筆者は見ていて思います。
というのも、筆者も吃音症なのでなんとなくわかるんですよね。
そんなわけで今回は吃音症の話。
・吃音症とは
・しんまの吃音症の歴史
・吃音症とどう向き合うか
みたいなお話を書いていきます。
目次
- 吃音症の症状は3つ
- しんまの吃音症の歴史
- 友達はしんまをどう思っていたのか
- しんまは吃音症をどう克服したのか
- 吃音症は天才の代償【吃音の悩みを軽減する方法】
- 現実的な吃音症の悩みを軽減する2つの方法
- 吃音症で良かったことなんて何一つない
吃音症の症状は3つ
基本的に吃音症の症状は3つ。
「あのあのあの」と同じ言葉を繰り返し喋ってしまう連発。
「あのー」と言葉が伸びてしまう伸発。
言葉が出なくなってしまう難発。
筆者の場合は連発8割、難発2割という感じです。
しんまの吃音症の歴史
頭の中に脳みそではなくこんにゃくでもつまってるんじゃないかっていうくらい記憶力が悪いので、正直子供時代のことはほとんど覚えていません。
だからいつ吃音を発症したのかは記憶になくて、なんとなく「どもるなあ、うまく喋れないなあ」と感じたのが高校生時代。
高校生くらいから、日常会話でも「あのあのあの」と連発し、プレッシャーがかかる局面においては言葉が出てこない「難発」がこんにちはしてくるという状態。きっつー。
また、これは吃音症あるあるだと思いますが、特定の言葉が非常に発音しづらく、そのため別の言葉に言い換えるみたいなこともよくしていました。
例えばバイトで接客をしていた時、「少々右側にずれてお待ちください」が言えなくて、「少々」の部分を省き、「右側」を「横」に言い換えて、「横にずれてお待ちください」と言ってました。
我ながら涙ぐましい努力。
成人してからも吃音が治ることはなく、飲み会で自分が話すターンがやってきたときに、話す内容、話す構成、オチなどは全て頭の中で出来上がっているのに、吃音が邪魔して全然プラン通りに話せず、結果スベるという惨劇を何度も繰り返しました。
もうやめて!しんまのライフは0よ!!
島田紳介みたいに、流暢にぺらぺら喋れるようになったらどんなに楽しいかと何度も思いましたけど、実際はどれだけトークのスペシャリストを研究をしようが、喋り方を真似してみようが、無理なもんは無理でしたね。めっちゃどもる。
とまあ、これがしんまの吃音の歴史です。
友達はしんまをどう思っていたのか
聞いたことありませんね。
推測するに、多分友達たちは筆者が吃音だとは認識しておらず「なんだかせっかちで落ち着きがない野郎だなあ・・・」とでも思ってるんじゃないですかね。
というのも、筆者は年齢と努力を重ねるにつれ、吃音との向き合い方がうまくなったために、今ではそれほどどもったりしないので、傍目には落ち着きないけど普通の奴だと認識されていると思います。
しんまは吃音症をどう克服したのか
吃音症の治療法は確立されておらず、筆者が調べた限り「こうしたら治る」という絶対的な方法論は存在しません。
そもそもなぜどもるのかという、根本的な部分すらわかっていないのが吃音症の現状ですからね。(いろいろな説は提唱されているけども)
なので、吃音症を治すのではなく、吃音症とどう向き合うかの方が大事だと自分は考えています。(症状が重度な人はまた別だけど)
要するに、治らねーなら共存してやろーぜというロジック。
これまでの経験から、「自分がどういう局面で吃音が発生するのか」がある程度見えてきたため、吃音を回避する知見がそこそこ蓄積しています。
具体的には、
・ 話すスピードを落とす(めちゃくちゃ早口のため)
・ 言いにくい言葉は単語を2ブロックに分解して喋るか別の言葉に言い換える
・ 会話の頭に「ええぇ」や「あのー」と発し喋りやすいリズムを作る
・ 言葉につまったら胸を叩き間を作る
・ どもっても気にしない
などなど。
こうしたテクを駆使して、どうにかこうにか一般人同様の喋りができていると思います。
まあ、いまだに電話対応で言葉が出てこなくてぴえんって感じではあるんですけどねえ・・・。
吃音症は天才の代償【吃音の悩みを軽減する方法】
新書「吃音の世界」にて紹介されていたオーストラリアの「4歳になるまでの、吃音の自然発生率、前向き研究」によれば、以下の3つの事実が判明しています。
1. 子供の性格・気質・感情面は吃音発症に関係ない
2. 母親の精神状態は子供の吃音発症に関係ない
3. 吃音のある子は他の子と比べて言語発達が良い
子供の性格や気質は吃音には関係なく、さらには日本でも長い間吃音は母親の子育ての問題だと考えられていましたが、それを否定する事実がわかった研究結果ともなっています。
これには世の多くの母親が救われたのではないでしょうかね。
そして重要なのが「吃音のある子は他の子と比べて言語発達が良い」という研究結果。
吃音は言語の発達が遅れているから発症するのではなく、むしろ言語の発達が進み過ぎてしまったがために発症する可能性が提示さているのです。
実際、吃音を患った人には天才がたくさんいます。
記事冒頭で紹介した「田中角栄」、イギリスで「最も偉大な政治家」と呼ばれた「ウィンストン・チャーチル」、フランス国民の英雄となった「ナポレオン」などなど。
とにかく歴史に名を残した天才たちがたくさんいます。
もちろん、吃音症自体100人に1人の割合で存在するため、「そんだけ吃音の人がいれば一定の割合で天才は生まれるでしょ。だから、吃音の人が特別天才かどうかは定かじゃないんでないの?」という反論もあるでしょう。
ただ、ここで重要なのはそんな事実ではなく、吃音者が自分に自信を持てるということに大きな意味があります。
というのも、吃音で悩む人の多くがうまく喋れないが故に自分に自信が持てなくなります。
実際、吃音で悩んで死ぬことを考える人も少なくありません。
そんな吃音症に悩まされるくらいなら、「俺、頭の回転早過ぎて口が追いつかないのか。だから吃音症なのか。いやー天才はつらいねー。田中角栄も吃音だけど総理になったし、ワンチャン俺も総理いける??」と、ポジティブに変換した方がましです。
というか筆者が吃音に対してそこまで悩んでいないのも、そうやってポジティブ変換をしてきたからです。天才だからしょうがーねかと。吃音症は天才の宿命なのかと。ワンチャン総理いけるかもと。
「吃音の世界」の著者、菊池良和さんは、吃音に悩む子供を診察する時、「君の頭の回転が早過ぎて口がついてこられなかったんだよ」と説明すると、誇らしげになる子供が多くいるそうです。
明確なエビデンスがなくても、事実ではなくても、それで心が楽になるのならそんな嘘も悪くはないんじゃないですかね。
筆者はそう思います。
現実的な吃音症の悩みを軽減する2つの方法
先ほども紹介した新書「吃音の世界」によれば、吃音症の悩みを軽減する方法は以下の2つになります。
1. 周囲に吃音症のことをカミングアウトする
2. どもっちゃダメだと考えるのではなくどもってもいいと考える
吃音を隠そうとしたり、どもらないようにしなければいけないと思えば思うほど吃音症は悪化します。
だったら周囲に吃音症であることをカミングアウトしてしまい、「どもってもいいや」と考えた方が心が楽になります。
吃音症で良かったことなんて何一つない
前述した通り、筆者は吃音症でそこまで深刻に悩んだわけではありませんが、そうは言っても吃音症で良かったことなんて何一つないです。
だって伝えたいことが適切に伝えられないのですから。
伝える内容は全て頭の中に出来上がっているのに、いざ喋ろうとするとプラン通りの言葉にならない。もどかしいったらありゃしない。
もし自分が吃音症じゃなかったら、上手に女を口説き、存分に性の喜びを堪能し薔薇色ハッピー人生が送れたでしょうね。
というのも、自画自賛みたいになるけど、筆者は吃音症というディスアドバンテージがありながらも、わりと話すのは上手い方なんですよ。
だから、これでもし吃音症じゃなかったら口説き放題、ヤりたい放題、うほーい、という感じだったと思うんです。マジで。
吃音症のクソ野郎が!!!
モテない理由を全て吃音症に押し付ける浅ましい人間性の露呈はさておき、実際問題、吃音症のある成人の半数が二次障害として社会不安障害を発症してしまい、自律神経が暴走してよりどもりがひどくなるという状態に陥っています。
症状が軽度だろうと重度だろうと、「ちゃんと喋れない」というのは、社会生活を送る上では思いの外厄介なんですよね。
天才ってつらいっすねえ。
以上、頭の回転が早過ぎて口が追いつきません・・・【吃音症は天才の代償】...でした。